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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

けれど、それでも――
あの髪に、もう一度触れたくて。
「あの……不躾ながら、王の髪……編ませていただいてもよろしいでしょうか?」
王はふっと目を伏せられ、どこか遠い場所を見るような表情をされた。
「王の髪に触れられるのは、妃だけだ。」
静かに、けれど確かにそう言われた言葉が、胸の奥に突き刺さった。
「……申し訳ございません。」
私は頭を深く下げると、そっと王のもとから離れた。
あの指先に、王の髪の感触が残っているはずもないのに――
手が、じんと熱を持っていた。
「……カリーム王。」
噴水から離れようとしたその瞬間、後ろから手首をそっと掴まれた。
振り向くと、カリーム王がすぐ傍にいた。
まっすぐではなく、少しだけ伏せた眼差し。
あの髪に、もう一度触れたくて。
「あの……不躾ながら、王の髪……編ませていただいてもよろしいでしょうか?」
王はふっと目を伏せられ、どこか遠い場所を見るような表情をされた。
「王の髪に触れられるのは、妃だけだ。」
静かに、けれど確かにそう言われた言葉が、胸の奥に突き刺さった。
「……申し訳ございません。」
私は頭を深く下げると、そっと王のもとから離れた。
あの指先に、王の髪の感触が残っているはずもないのに――
手が、じんと熱を持っていた。
「……カリーム王。」
噴水から離れようとしたその瞬間、後ろから手首をそっと掴まれた。
振り向くと、カリーム王がすぐ傍にいた。
まっすぐではなく、少しだけ伏せた眼差し。

