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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女
私は足を止め、ユリーナ様の遺品の部屋に入った。

確かに、ここにはまだ微かに香りが残っている。

カリーム王の言う通り、毎日ここで過ごすうちに、私の肌や髪に香りが移ってしまったのだろう。

胸が痛む。

もう一年も経つというのに、あの方は、あの人の匂いを――まだ覚えているなんて。

「……っ」

込み上げるものを抑えきれず、私はそっと膝をついた。

ユリーナ様……お許しください。

私は、ただ王を慰めたかっただけなのに。
それなのに、あの一言が、嬉しかった自分が――悔しい。

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