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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

ある日、洗濯物を干し終えた帰りに、私はふと中庭の噴水の音に足を止めた。
光の差し込む白い石造りの水盤のほとり――そこに、あの方がいた。
カリーム王。
思わず息を呑んだ。
王は、いつものようなターバンも、ヒジャブも被っていない。
漆黒の髪をさらし、香油を手に取り、その長い髪に丁寧に塗り込んでいた。
それは、まるで儀式のように神聖で、触れてはいけない美しさだった。
……こんな真昼に、ヒジャブを取るなんて。
珍しい。
それほど、誰にも見せたくない大切な時間なのに。
気配に気づいたのか、王は顔を上げ、私を見た。
そしてすぐに、手元のヒジャブを頭に被った。
「君は、確か……」
「ナディアです。カリーム王。」
名を告げても、王はその名を繰り返さなかった。
呼ばれなかったことが、少しだけ胸を締めつける。
光の差し込む白い石造りの水盤のほとり――そこに、あの方がいた。
カリーム王。
思わず息を呑んだ。
王は、いつものようなターバンも、ヒジャブも被っていない。
漆黒の髪をさらし、香油を手に取り、その長い髪に丁寧に塗り込んでいた。
それは、まるで儀式のように神聖で、触れてはいけない美しさだった。
……こんな真昼に、ヒジャブを取るなんて。
珍しい。
それほど、誰にも見せたくない大切な時間なのに。
気配に気づいたのか、王は顔を上げ、私を見た。
そしてすぐに、手元のヒジャブを頭に被った。
「君は、確か……」
「ナディアです。カリーム王。」
名を告げても、王はその名を繰り返さなかった。
呼ばれなかったことが、少しだけ胸を締めつける。

