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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

会話の輪に入ることも、名前を呼ばれることもない。
ただ、静かに働くだけ。
けれど心のどこかで――
その名に並ぶはずのない自分のことを、ほんの少しだけ、想ってしまった。
“あの方の隣に立つのは、誰なのか”
……それが、私であるはずはないのに。
その日は、王専用の洗濯物を預かっていた。
カリーム王の衣は繊細な絹や細工入りのものが多く、扱いは慎重を極める。
たたんだ衣の一枚一枚に、あの方の体温や香りが残っている気がして、胸がざわつく。
「王の侍女は……?」
私が控えの間にいる別の侍女に尋ねると、彼女は少し慌てて言った。
「皆、ちょうど出払ってしまっていて。王の私室にも誰もいないはずですわ。」
「そう、ですか……」
困った。私は洗濯物を届けに来ただけなのに。
ただ、静かに働くだけ。
けれど心のどこかで――
その名に並ぶはずのない自分のことを、ほんの少しだけ、想ってしまった。
“あの方の隣に立つのは、誰なのか”
……それが、私であるはずはないのに。
その日は、王専用の洗濯物を預かっていた。
カリーム王の衣は繊細な絹や細工入りのものが多く、扱いは慎重を極める。
たたんだ衣の一枚一枚に、あの方の体温や香りが残っている気がして、胸がざわつく。
「王の侍女は……?」
私が控えの間にいる別の侍女に尋ねると、彼女は少し慌てて言った。
「皆、ちょうど出払ってしまっていて。王の私室にも誰もいないはずですわ。」
「そう、ですか……」
困った。私は洗濯物を届けに来ただけなのに。

