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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

カリーム王の私室は、妃たちしか立ち入ることが許されない場所。
私のような下働きの侍女が入るなど、厳しく禁じられている。
けれど今は誰もいない。
扉の前に立ち、廊下の左右を見回しても、人影はない。
「……ほんの少しだけ。置くだけ、だから。」
私はそっと扉を押した。
扉の向こうには、静寂が満ちていた。
香油と砂漠の草の混じった香りが、ふわりと鼻をくすぐる。
――これが、あの方の香り。
私は歩を進め、奥のソファーへと向かう。
深紅の絨毯に足音が吸い込まれていくのが分かる。
何かが壊れてしまいそうで、息を詰めるように歩いた。
そして、そっと洗濯物の束をソファーの端に置いた。
それだけのはずだった。
けれど――
指先が、王の衣の袖を撫でたとき、思わず立ち止まってしまった。
私のような下働きの侍女が入るなど、厳しく禁じられている。
けれど今は誰もいない。
扉の前に立ち、廊下の左右を見回しても、人影はない。
「……ほんの少しだけ。置くだけ、だから。」
私はそっと扉を押した。
扉の向こうには、静寂が満ちていた。
香油と砂漠の草の混じった香りが、ふわりと鼻をくすぐる。
――これが、あの方の香り。
私は歩を進め、奥のソファーへと向かう。
深紅の絨毯に足音が吸い込まれていくのが分かる。
何かが壊れてしまいそうで、息を詰めるように歩いた。
そして、そっと洗濯物の束をソファーの端に置いた。
それだけのはずだった。
けれど――
指先が、王の衣の袖を撫でたとき、思わず立ち止まってしまった。

