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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

その声には、憧れとも嫉妬ともつかない響きがあった。
ザヒーラ・アムジャド様――
名門貴族の娘にして、政治的な影響力を持つ家柄。
王が彼女を正妃にすれば、周囲の国々との貿易は確かに安定するだろう。
「いえいえ、ライラ様で決まりよ。」
別の側女が、笑いながらそう返す。
薄紅のヴェール越しに見えるその表情には、微かな含みがあった。
ライラ・ファイザ様――
ハーレム随一の美貌を誇る女性。
まっすぐに王の寵愛を求め、誰よりも「美しくあること」に執着している。
「顔よ、顔。正妃として隣に立つには、やっぱり見た目が大事。」
「でも、名門の後ろ盾も捨てがたいわ。」
「いっそ、両方正妃にしてしまえば?」
くすくすと笑い合う声が、ヴェールの奥から聞こえてくる。
私は黙って頭を下げながら、衣を所定の棚に収めていく。
ザヒーラ・アムジャド様――
名門貴族の娘にして、政治的な影響力を持つ家柄。
王が彼女を正妃にすれば、周囲の国々との貿易は確かに安定するだろう。
「いえいえ、ライラ様で決まりよ。」
別の側女が、笑いながらそう返す。
薄紅のヴェール越しに見えるその表情には、微かな含みがあった。
ライラ・ファイザ様――
ハーレム随一の美貌を誇る女性。
まっすぐに王の寵愛を求め、誰よりも「美しくあること」に執着している。
「顔よ、顔。正妃として隣に立つには、やっぱり見た目が大事。」
「でも、名門の後ろ盾も捨てがたいわ。」
「いっそ、両方正妃にしてしまえば?」
くすくすと笑い合う声が、ヴェールの奥から聞こえてくる。
私は黙って頭を下げながら、衣を所定の棚に収めていく。

