この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

「なにそれ、詩人みたいな言い方!」
「不器用な王様? まさか、あの完璧なカリーム王が?」
私はそれ以上何も言わず、手元の布をゆっくりと絞った。
泡が消えていく様子を見つめながら、胸の奥でそっと呟く。
──そう。
あの方は、ただ不器用なだけ。
きっと、自分の悲しみにも、他人の優しさにも、どう向き合えばいいのか分からない。
だから閉じたままでいるのだと、私は思う。
本当は、誰よりも愛に飢えているのに。
たたみ終えた洗濯物を胸に抱えて、お妃様方の部屋へ向かう。
陽射しにさらされた衣の温もりが、腕にじんわりと染み込む。
私のような下働きが立ち入るのは、ほんの一角だけ。
それでも、あの方たちの声は嫌でも耳に届いてくる。
「今度の正妃は、ザヒーラ様かしら。」
声の主は、若い側女。
「不器用な王様? まさか、あの完璧なカリーム王が?」
私はそれ以上何も言わず、手元の布をゆっくりと絞った。
泡が消えていく様子を見つめながら、胸の奥でそっと呟く。
──そう。
あの方は、ただ不器用なだけ。
きっと、自分の悲しみにも、他人の優しさにも、どう向き合えばいいのか分からない。
だから閉じたままでいるのだと、私は思う。
本当は、誰よりも愛に飢えているのに。
たたみ終えた洗濯物を胸に抱えて、お妃様方の部屋へ向かう。
陽射しにさらされた衣の温もりが、腕にじんわりと染み込む。
私のような下働きが立ち入るのは、ほんの一角だけ。
それでも、あの方たちの声は嫌でも耳に届いてくる。
「今度の正妃は、ザヒーラ様かしら。」
声の主は、若い側女。

