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切り裂かれた衣
第2章 衣美と匠~共に過ごす日々~

それから数週間、衣美と匠は大学で少しずつ時間を共有するようになった。講義の合間にカフェスペースで話したり、図書館で一緒に自習したり。匠は新入生でまだキャンパスに慣れていないこともあり、衣美が「学食はAセットが安くて美味しいよ」「あの教授の講義は寝ちゃダメ、絶対!」と先輩らしくアドバイスをすることも多かった。
ある日、文学部のゼミの後に、衣美は匠と一緒に学食でランチを取っていた。衣美はカレーライス、匠はハンバーグ定食。学食は学生で賑わい、ガヤガヤとした雰囲気が心地よい。
「お兄ちゃんさ、大学生活どう? もう慣れた?」
「うーん、だいぶ慣れてきたけど……サークルとか、迷ってるんだよね」
「サークル? 何か気になるのがあるの?」
「うん、演劇サークルがちょっと……シェイクスピアの劇とかやってるらしいんだけど、俺、演技とかしたことないから、勇気が出なくて」
匠が少し恥ずかしそうに言うと、衣美は目を輝かせた。
「演劇! めっちゃいいじゃん! お兄ちゃんはさ、声もいいし、顔も……ねえ、絶対似合うよ!」
「え、顔って……何?」
匠が慌てて聞き返すと、衣美は笑いながら手を振った。
「いや、ほら、愛らしい顔立ちだからさ! シェイクスピアのロミオとか、絶対ハマるって!」
「ロ、ロミオって…やめてよ、恥ずかしい!」
匠は顔を真っ赤にして俯くが、衣美は楽しそうに笑い続けた。そんなやり取りが、二人にとって日常になりつつあった。
ある雨の日、衣美は講義棟のロビーで匠と待ち合わせしていた。匠が「資料を、貸してほしい」とLINEで連絡してきた。
衣美は濡れないように傘を差してやってきた匠を見て、思わず笑った。
「お兄ちゃんさ、傘ちっちゃくない? それ、子供用みたいだよ」
「え、うそ、これ普通の……あ、ほんとだ、弟の借りちゃったかも…」
匠が慌てて傘を見る姿に、衣美はまた笑った。
「お兄ちゃん、実家から通いだもんね。ふふっ、あの頃みたいにお兄ちゃんしてるいるんだねぇ」
ロビーのベンチに座り、衣美はバッグから資料を取り出して渡さした。
「はい、これ。ちゃんと読んでね、教授、テストに出すよ」
「ありがとう、衣美。いつも助かるよ」
匠が資料を受け取りながら、ふと衣美の手を見た。
ある日、文学部のゼミの後に、衣美は匠と一緒に学食でランチを取っていた。衣美はカレーライス、匠はハンバーグ定食。学食は学生で賑わい、ガヤガヤとした雰囲気が心地よい。
「お兄ちゃんさ、大学生活どう? もう慣れた?」
「うーん、だいぶ慣れてきたけど……サークルとか、迷ってるんだよね」
「サークル? 何か気になるのがあるの?」
「うん、演劇サークルがちょっと……シェイクスピアの劇とかやってるらしいんだけど、俺、演技とかしたことないから、勇気が出なくて」
匠が少し恥ずかしそうに言うと、衣美は目を輝かせた。
「演劇! めっちゃいいじゃん! お兄ちゃんはさ、声もいいし、顔も……ねえ、絶対似合うよ!」
「え、顔って……何?」
匠が慌てて聞き返すと、衣美は笑いながら手を振った。
「いや、ほら、愛らしい顔立ちだからさ! シェイクスピアのロミオとか、絶対ハマるって!」
「ロ、ロミオって…やめてよ、恥ずかしい!」
匠は顔を真っ赤にして俯くが、衣美は楽しそうに笑い続けた。そんなやり取りが、二人にとって日常になりつつあった。
ある雨の日、衣美は講義棟のロビーで匠と待ち合わせしていた。匠が「資料を、貸してほしい」とLINEで連絡してきた。
衣美は濡れないように傘を差してやってきた匠を見て、思わず笑った。
「お兄ちゃんさ、傘ちっちゃくない? それ、子供用みたいだよ」
「え、うそ、これ普通の……あ、ほんとだ、弟の借りちゃったかも…」
匠が慌てて傘を見る姿に、衣美はまた笑った。
「お兄ちゃん、実家から通いだもんね。ふふっ、あの頃みたいにお兄ちゃんしてるいるんだねぇ」
ロビーのベンチに座り、衣美はバッグから資料を取り出して渡さした。
「はい、これ。ちゃんと読んでね、教授、テストに出すよ」
「ありがとう、衣美。いつも助かるよ」
匠が資料を受け取りながら、ふと衣美の手を見た。

