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切り裂かれた衣
第2章 衣美と匠~共に過ごす日々~
 カフェスペースは、大きな窓から光が差し込む明るい場所。木製のテーブルが並び、コーヒーの香りが漂っている。衣美はアイスラテ、匠はブラックコーヒーのカップを持って窓際の席に座った。

「お兄ちゃん、コーヒーってブラック飲めたっけ?」

 衣美が聞くと、匠は少し慌てたように答えた。

「う、うん。なんか、そりゃ……大人だからね」

「ふふっ、そうなんだ。でも、めっちゃ苦そう」

 衣美のからかうような笑顔に、匠は「いや、慣れると平気だよ!」と反論するが、すぐに「……まあ、最初はちょっと苦かったけど」と笑った。二人の会話はまだ少しぎこちない。でも、衣美はそのぎこちなさが、なんだか心地いいと感じていた。

「そういえば、お兄ちゃんも文学部だよね。専攻は?」

「英米文学。シェイクスピアとか、けっこう好きで……」

「あ~そういえば部屋にも本置いてあったね。私は日本文学。古典とか、夏目漱石とかね。あ、でも最近はライトノベルも読むよ。意外と面白くてハマっちゃった」

「へえ、ライトノベル……どんなの?」

 匠が興味津々に身を乗り出す。衣美は少し照れながら、最近ハマっているファンタジー系のライトノベルについ
て話し始めた。匠は真剣に聞きながら、時折「それ、面白そう」と相槌を打つ。その真面目な聞き方が、家庭教師時代の匠を思い出させた。

「お兄ちゃんって、昔からこうやってちゃんと聞いてくれるよね。家庭教師の時も、めっちゃ真剣にノート取ってたもん」

「え、そ、そうかな? いや、衣美の説明が……わかりやすかったから」

 匠はまた顔を赤くして、コーヒーカップに視線を落とす。衣美はそんな彼を見て、思わず笑顔がこぼれた。

「ふふ、照れ屋さんだね、お兄ちゃん」

「う……その呼び方、なんかなぁ……俺のことも匠って呼んでくれない?」

「え~~この方が好きだもん。お兄ちゃんだって、本当は呼ばれて嫌いじゃないでしょ?」

 衣美が少し意地悪く笑うと、匠は「う、うん…嫌いじゃない」と小さな声で答えた。その瞬間、二人の間に柔らかい空気が流れた。

 匠をお兄ちゃんと呼ぶのは最大の親しみを込めての呼び方だった。

 二十歳の衣美が十九歳の匠をお兄ちゃんと慕う。

 そんな光景はどこか不思議に見えるが誰が見ても幸せそうなカップルだった。
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