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切り裂かれた衣
第4章 初めてのデート
 夕方になり、衣美は助手席に乗せて匠のアパートまで向かっていた。

「実家には時々帰るの?」

 衣美が聞くと匠は「うん」と頷いた。

「連休とか週末にはだいたい」

「そっか、今度また私もお邪魔してもいいかな」

「……なんか、恥ずかしいな。彼女として……衣美を呼ぶの」

「あっ……そうなるのか。だね、なんか照れちゃうよね」

 車内の談笑も楽しかった。夕陽が空をオレンジに染め、車窓の外の街にも柔らかい光を投げかけている。

 衣美はハンドルを握りながら「はぁ~」と息を吐いた。

「今日、楽しかったな~。映画もランチも、全部」

「うん、俺も……めっちゃ楽しかった。衣美、ありがとう」

 匠の声は少し震えていて、衣美はそれが彼の緊張と嬉しさの混ざったものだと気づいた。

「初めての彼氏がお兄ちゃんで本当に良かった。また大学でも会うけどさ、次のデートもよろしくね」

「うん、 よろしく」

 匠も力強く頷いた。その笑顔に、衣美はまたドキッとした。

 匠のアパート前に着くと、匠はお礼を言いながら車から降りた。

「また、大学で!」

「うん、またね!」

 笑顔で手を振りながら別れた。一人になった車内での道中、衣美は今日の出来事を反芻した。映画館でのこと、匠の照れた笑顔のこと、チーズケーキをシェアした瞬間のこと──全部が、胸に温かい記憶として刻まれていた。 

 車窓から見える夕焼けに、衣美は小さく呟いた。

「この幸せがずーと続きますように」



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