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切り裂かれた衣
第1章 突然の告白

清々しいほどの青空が広がっている。衣美は思わず背伸びをして「うーん」と気持ち良さそうに胸を張った。
気持ちのいい空気を吸ってから、アパートの駐車場に停めてある、自分の愛車・シルバーのムーヴに乗り込む。エンジンをかけると、軽快な音楽が流れ出した。プレイリストから流れる流行りのKーPOPの曲に合わせて、小さく鼻歌を口ずさむ。
道中、信号待ちでハンドルに手を添えている間もデートのことを思い浮かべて「ふふっ」と車内で笑ってしまった。
(まさか“お兄ちゃん”と付き合うことになるなんて……ふふっ、かわんないもんだなぁ~)
信号が青に変わった。アクセルをゆっくりと踏みながらまた幸せそうに鼻唄を口ずさんだ。
衣美は県内の国立大学の文学部三年生だ。そんな衣美の恋人は今年の春に同じく入学してきた新入生の佐藤匠。衣美が大学一年生の頃、家庭教師のアルバイトをしていた時に半年だけ勉強を教えていたのが匠だった。
四人兄弟の長男で家族からも「お兄ちゃん」と呼ばれていたので衣美も彼を「お兄ちゃん」と呼んでいた。家庭教師なんていらないくらいの優秀な子だと衣美は記憶していたがそんな彼が同じ大学に入学してきたことを知ったのは今年の四月……衣美が食堂で友人と食事をしていた時のことだった。
気持ちのいい空気を吸ってから、アパートの駐車場に停めてある、自分の愛車・シルバーのムーヴに乗り込む。エンジンをかけると、軽快な音楽が流れ出した。プレイリストから流れる流行りのKーPOPの曲に合わせて、小さく鼻歌を口ずさむ。
道中、信号待ちでハンドルに手を添えている間もデートのことを思い浮かべて「ふふっ」と車内で笑ってしまった。
(まさか“お兄ちゃん”と付き合うことになるなんて……ふふっ、かわんないもんだなぁ~)
信号が青に変わった。アクセルをゆっくりと踏みながらまた幸せそうに鼻唄を口ずさんだ。
衣美は県内の国立大学の文学部三年生だ。そんな衣美の恋人は今年の春に同じく入学してきた新入生の佐藤匠。衣美が大学一年生の頃、家庭教師のアルバイトをしていた時に半年だけ勉強を教えていたのが匠だった。
四人兄弟の長男で家族からも「お兄ちゃん」と呼ばれていたので衣美も彼を「お兄ちゃん」と呼んでいた。家庭教師なんていらないくらいの優秀な子だと衣美は記憶していたがそんな彼が同じ大学に入学してきたことを知ったのは今年の四月……衣美が食堂で友人と食事をしていた時のことだった。

