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切り裂かれた衣
第4章 初めてのデート

「映画、十一時二十分からだよね?」
衣美は腕時計を見ながら言った。今日はまず映画から見る予定になっている。匠はそんな衣美の腕時計を見ながら「うん」と頷いた。
「あのさ……俺、あんまり時計に詳しくないんだけど……その時計、綺麗だね」
匠は衣美の腕時計をじっと見ながら言った。
「ああ、これのこと。ありがとう」
衣美は匠に腕時計を見せつけながらニコッと笑った。衣美の腕時計は金属ベルトの外国ブランドだった。ローズゴールドに光るその美しさに匠は「凄いなぁ」と呟いた。
「高かったよ。バイト頑張って買ったんだから」
「凄いなぁ……」
「これよりいいの。プレゼントしてね」
衣美は意地悪な視線を匠に向けると彼は「うっ」と呻き、衣美はそれを見てまた笑った。
車窓の外はショップやカフェが並ぶ賑やかなエリアに入った。窓を開けると風が心地よく車内に流れて、衣美の髪をふわりと揺らした。匠は時折、衣美をちらっと見ては、すぐに視線を前に戻す。その仕草に気づいた衣美は、また笑みを浮かべた。
「『君と星空を』……楽しみだね。評判いいって聞くし、予告見たけど、めっちゃ泣けそうだったよ」
これから見る映画の話題について振ると匠も「うん」と言いながら俯いた。
「衣美と見れるから……より楽しみ」
「もう、何それ」
「だってさ、好きな人と恋愛映画なんて……最高じゃん」
「ふふっ、そうだね。泣かないでよ」
「え、泣かないよ! たぶん……衣美こそ泣くなよ」
「は~い」
匠が少しムキになって反論する姿に、衣美はくすっと笑った。
目的地の映画館があるショッピングモールに着くと衣美はムーヴを駐車場に停めた。匠が事前にチケットを予約していたので匠がカウンターで引き換えた。
「こっちは私が出すよ」
衣美はポップコーンとドリンクを買いに向かおうとすると。匠が慌てて止めた。
「いや、俺が出すよ。 初めてのデートだし……ここは男が出さなきゃ」
顔を赤くしながらの言葉に、衣美も頬が熱くなった。
「そ、じゃあお言葉に甘えてお願いします」
二人はポップコーンのバケツを手に、劇場内の席に着いた。スクリーンが暗くなり、予告編が流れてからいよいよ本編の『君と星空を』が始まった。
衣美は腕時計を見ながら言った。今日はまず映画から見る予定になっている。匠はそんな衣美の腕時計を見ながら「うん」と頷いた。
「あのさ……俺、あんまり時計に詳しくないんだけど……その時計、綺麗だね」
匠は衣美の腕時計をじっと見ながら言った。
「ああ、これのこと。ありがとう」
衣美は匠に腕時計を見せつけながらニコッと笑った。衣美の腕時計は金属ベルトの外国ブランドだった。ローズゴールドに光るその美しさに匠は「凄いなぁ」と呟いた。
「高かったよ。バイト頑張って買ったんだから」
「凄いなぁ……」
「これよりいいの。プレゼントしてね」
衣美は意地悪な視線を匠に向けると彼は「うっ」と呻き、衣美はそれを見てまた笑った。
車窓の外はショップやカフェが並ぶ賑やかなエリアに入った。窓を開けると風が心地よく車内に流れて、衣美の髪をふわりと揺らした。匠は時折、衣美をちらっと見ては、すぐに視線を前に戻す。その仕草に気づいた衣美は、また笑みを浮かべた。
「『君と星空を』……楽しみだね。評判いいって聞くし、予告見たけど、めっちゃ泣けそうだったよ」
これから見る映画の話題について振ると匠も「うん」と言いながら俯いた。
「衣美と見れるから……より楽しみ」
「もう、何それ」
「だってさ、好きな人と恋愛映画なんて……最高じゃん」
「ふふっ、そうだね。泣かないでよ」
「え、泣かないよ! たぶん……衣美こそ泣くなよ」
「は~い」
匠が少しムキになって反論する姿に、衣美はくすっと笑った。
目的地の映画館があるショッピングモールに着くと衣美はムーヴを駐車場に停めた。匠が事前にチケットを予約していたので匠がカウンターで引き換えた。
「こっちは私が出すよ」
衣美はポップコーンとドリンクを買いに向かおうとすると。匠が慌てて止めた。
「いや、俺が出すよ。 初めてのデートだし……ここは男が出さなきゃ」
顔を赤くしながらの言葉に、衣美も頬が熱くなった。
「そ、じゃあお言葉に甘えてお願いします」
二人はポップコーンのバケツを手に、劇場内の席に着いた。スクリーンが暗くなり、予告編が流れてからいよいよ本編の『君と星空を』が始まった。

