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切り裂かれた衣
第3章 衣美と匠~共に過ごした日々~
「あ~お兄ちゃん、先生に照れてるんだ!」

 亮太が言うと翔も笑った。

「お兄ちゃん、マジで?」

 悠斗もニヤニヤと笑う。

「先生、美人だから」

 弟達の言葉に匠は顔を真っ赤にして「なんだよ!」と怒鳴った。

「お兄ちゃん!恥ずかしいことしないの!」

 陽子がリビングに顔を出して匠を叱ってからハッと口を塞ぐ。

「ほら匠、先生がいるんだから恥ずかしいこしないの……ごめんなさいね。いつもみたいな言い方してしまいました」

「いえ、気にしないでください。匠君……本当にお兄ちゃんなんだね」

 衣美がそう笑うと匠は不貞腐れたように視線を背けた。

「どうせ俺……頼りないから」

「そうじゃないよ」

 衣美は微笑んだまま匠の肩に手を置いた。

「家族みんなから慕われているってことだよ。お兄ちゃん」

 衣美の優しい問いかけに匠は視線を戻すと、またすぐに恥ずかしそうにうつ向いた。

 陽子が他の弟達にも「先生をからかわないの!」と釘をさして離れると亮太がトランプを持ってきた。

「ねぇ、先生。もう少しだけ休憩いいでしょ。遊ぼうよ」

 衣美は時計を見てから「うん。いいよ」と笑った。

「もう三十分くらい休もうか」

 匠にも顔を向けて聞くと匠も頷いた。

「何をする? ババ抜き? 神経衰弱?」

 衣美がトランプをシャッフルした。彼女の手元を、匠は思わず見つめる。細い指と、ネイルのない自然な爪が柔らかく見えた。

 ゲーム中、衣美が「亮太君、めっちゃ強いじゃん!」「悠斗君もやるねぇ~」「翔君、あったまいい~」と笑いながらカードを引く姿に、弟たちは大喜びだった。

 匠もゲームに参加したが、衣美の笑顔や、カードを引くたびに軽く髪をかき上げる仕草に気を取られ、ミス連発した。

「兄ちゃん、ぼーっとしてるよ」

 悠斗に突っ込まれてムスッとした匠に衣美が「ふふっ」と笑う。

「ほらほら、お兄ちゃん、集中して!」とからかった。匠の耳はまた赤くなり、また俯いた。


 衣美の姿は、まるで家族の一員のようだった。

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