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第5章 星空の下で

　愛車のムーヴで匠のアパートまで向かう。アパートの駐車場は使えないので近くのコインパーキングに停めてから衣美は十分ほど歩いてアパートまで向かい、二階の匠の部屋まで階段を上った。

　部屋のチャイムを押すと匠が顔を出す。キリッと服装を整えてはいたが頭の寝癖に衣美は吹き出した。


「おはよう、衣美」

「おはよう、お兄ちゃん。ほらほら、寝癖ついてる」

　匠の髪の毛をそっと撫でながら衣美が笑い、匠も照れたように顔を赤くした。

　初デートから二人の絆は更に深まった。こうしてお互いの住まいを行き来することは日常になったのだ。

　衣美は「お邪魔します」と言いながらパンプスを玄関で脱ぎ、ペタペタとパンストを穿いた足で中へと入っていく。

　キッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると、買いだめされた食材が入っていた。

「あ～あ、これじゃあ健康によくないよ。もう」

「はは、考えなしに買うからかな」

「まったくもう」

　呆れたように笑いながらも衣美は献立を考える。

(まあ……朝だし、シンプルにいこうかな)

　衣美は冷蔵庫から食材を出しながら手際よく料理を作っていく。匠も側で手伝いながら二人で笑顔を向けながら朝食を作った。

「完成！！」

　衣美が嬉しそうに手を叩く。テーブルには白米とベーコンエッグ、豆腐の味噌汁とシンプルな朝食が並べられていた。

「美味しいそう」

「でしょ、でしょ、さあ食べようよ」

　テーブルで向かい合って、二人で手を合わせた。

「いただきます！」

　二人の声が重なる。衣美にとって、こうして匠と過ごす時間が至福の時になっていた。