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第39章 甘いお仕事

「……良かった。コンサルの人って、もっと上から目線で偉そうに経営に口出しする人ばかりかと思ってたけど、一ノ瀬さんはちゃんと向き合ってくれそうで安心しました」

「こら、夏美。失礼だぞ」

「だって本当のことだもん」

「まあ、確かにそういうやり方をするところもありますね」


　一ノ瀬さんは苦笑した。


「……」


　知らなかった。コンサルタント会社って経営困難のサポートをする仕事だから、みんな一ノ瀬さんみたいに優しい人なのかと思ったけど、違うんだ。


　一ノ瀬さんはちゃんとお店の人の気持ちに寄り添って理解しようとしている。私でもわかる、一ノ瀬さんは誠実な人だって。


「じゃあ、経営のことは一ノ瀬さんに任せようかな。ねえ、陽菜ちゃん。せっかくだし、ケーキ作りの体験してみない？」

「えっ、いいんですか？」


　私はチラッと一ノ瀬さんを見た。


「君の好きにするといい」

「……っ」


　私は優しい眼差しで微笑む一ノ瀬さんにドキッとした。


「あ、じゃあ……よろしくお願いします」


　私は夏美さんに案内にしてもらって、奥の作業場に行った。