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燃えて、おぼれて、尽き果てるまで ~白く滲んだスターマイン~
第3章 初めての密会 ~西新宿のホテル~
◆第3章

「来ちゃいましたね」

 入口の重いドアを閉めてチェーンロックをかけ、そう言ってから遼一が悦子をそっと抱きしめると、悦子はさらに強く彼にしがみついて「ああ…」とこらえきれない声を上げながら彼の胸でうなずいた。
 西新宿の高層ホテルのツインルームは午後の陽が大きな窓から入り、明るい色調のインテリアをさらに明るく映えさせていた。

 ボートの上で、ふたりになれるところに行きましょうかと言った遼一の誘いを悦子は迷うこともなく受け入れ、上石神井から新宿へ向かう西武線の車中ではあまり言葉を交わさないままこれから起きるであろうことにそれぞれ思いを巡らせながら、並んではいたものの手はつながずにホテルまで歩いてきたのである。

「うれしい…」

遼一の胸に顔をうずめたまま悦子が小さな声でつぶやいた。
背中のちょうどホックの上に置かれた遼一の掌には、彼女が大きく荒い息をするたびにその心臓の鼓動が伝わってくる気がした。

「ぼくも…」

 遼一はそう応えてからさらに強く彼女を抱きしめ、その顎をそっと持ち上げると今度は誰に見られる心配もない中で悦子の見上げる眼を見つめた。
 光沢のあるリップで艶めかしく濡れ、ボートの上のキスで求肥よりも、マシュマロよりも吸い付くようにやわらかく感じた悦子の唇に、彼は舌の先でいつくしむようにそっと触れてから次の瞬間には自分の唇を強く重ねて吸い寄せ、夢中で舌を絡め合った。
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