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燃えて、おぼれて、尽き果てるまで ~白く滲んだスターマイン~
第5章 白く滲んだスターマイン ~熱海の花火の夜~ -完-

「わたしばっかり… ごめんなさい」
1時間ほどの間に5回以上も狂わんばかりの絶頂の中をさまよって息も絶え絶えの悦子は、口移しで水を飲ませてもらうと少し落ち着いたように眼を開けて言った。
「ぼくは悦子が感じてくれるのが一番うれしいんだ」
遼一はそう応えたが
「わたしね、あまりいったことないの」
という悦子の返す言葉の意味が最初はわからなかった。
「あなたと逢えてこんなに愛されて、こんなふうになるなんて自分じゃないみたいなの」
夫は自分が満足すればそれでいいというタイプだと悦子は説明し、それを聞いて、遼一はますます悦子がいとおしくてたまらなくなり、もう一度力を込めて抱き寄せた。
「また逢えるよ、きっといつかまた」
「逢えるわよね、きっと。 指切りして」
と言って悦子が小指を指し出して遼一と結んだ。
「ごはん食べに行こうか」
「ええ、でももう少しだけこうしていて」
そう言うと自分から遼一の腕の中に体をあずけて離れようとしない悦子の顔を西陽が照らし出していた。

