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燃えて、おぼれて、尽き果てるまで ~白く滲んだスターマイン~
第4章 秘密の会話 ~深夜のLINE~
第4章
 
 翌日の朝から遼一のルーティンに小さな変化が起きた。

 目が覚めると妻が朝食の支度をしている間にLINEで〝おはよう〟を送り、普段より少しだけ早く家を出ると、駅へ着くまでにはいくつか言葉を交わすこともできるのである。
 会社にいるうちは私用のスマホはほとんど見ることができないので、ひとりの外回りをいくらか増やし、帰宅後は家族が寝静まってから自分の部屋で悦子とLINEを交わすことが日課になった。

 夫が入院中の今は一人暮らしの悦子にも毎日の変化があった。

 午後3時までの勤めが終わると、日常の買い物がない日にネットで下着を探すことが楽しみになり、ときにはマウスを持つ手が自分の敏感な場所に泳ぐことさえ始まったのである。
 長いこと忘れていた、というより夫との交渉もなくなってからは敢えて封印していた行為だった。

 勤めのあいだにもふとしたことで思い出して下着が濡れると会社のトイレで慰めることさえあったが、そんなあとでも落ち着いて浸れる家に帰ることが待ち遠しかった。

 わざと服を替えることもせずにこの間のホテルでの遼一を思い出しながら、たどるようにして指を動かしていると、あっという間に達してしまうのだったが、その直後の虚しさが無性に寂しく、何度も指が股間を彷徨う悦子だった。


 新宿で別れてから1週間ほど経った強い雨の降る夜、日付が変わりかけた遅い時間に恭一からのLINEが届いた。

 家族といる遼一を思いやって、悦子はできるだけ彼からのLINEは彼からのを待つようにしていたが、その夜もスマホを眺めながら体が熱くなっているのがわかっていて、着信音が鳴ると同時に、思わず溢れ出るものを抑えることはできなかった。
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