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燃えて、おぼれて、尽き果てるまで ~白く滲んだスターマイン~
第3章 初めての密会 ~西新宿のホテル~

 ついさっきまでの桃源郷のような時間をそれぞれに思い返しながら、ふたりはホテルを出てからはあまり言葉を交わすことなく、帰宅の通勤客やこれから街に繰り出す者らでごったがえす新宿でどちらからともなく手を差し伸べて握手をしてから別れを惜しんだ。

「おうちに帰るのよね?」
「うん」
「今度いつ会える?」
「LINEします」
「敬語なんてもういらないわ」
「うん、ありがとう」

 短い会話のあと、唇の形だけで恭一が「だいすき」と言うと、「わたしもだいすき」と悦子が微笑みながら返し、もう一度小さく握手をしてから改札前で手を振って別れた。
 遼一の指には悦子の体の隠された場所の感覚が、そして悦子の体の芯には遼一から放たれたほとばしりの感覚がまだ鮮やかに残っていた。

 自宅のある大宮へ向かう通勤快速のデッキに立ちながら、遼一は早速悦子にLINEを送っていた。

 >夢のような時間をありがとうございました

 既読はすぐに付いた。

>>わたしこそありがとう。敬語はやめてね
 >えつこさんがずっと大好きでした
>>えつこだけにして

 悦子だけを愛して、という意味かとも一瞬遼一は思ったが、敢えて尋ねることをしないでおこうと思った。

 >えつこだけ
>>うれしいわ
 >えつこ
>>リョウ

 遼一は昔、男子からは呼ばれていた〝リョウ〟と言われると改めて体の芯が熱くなった。
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