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燃えて、おぼれて、尽き果てるまで ~白く滲んだスターマイン~
第3章 初めての密会 ~西新宿のホテル~

ふたりが抱き合っているのは部屋の入口横のユニットバスの前にある姿見の前だったので、背後から抱いた悦子の乱れる姿が遼一には正面から見ることができて彼の欲情を一層かきたてていたが、目を閉じたまま夢中になっている悦子にはそれはまだわからなかった。
「ああ、あ… イノくん…」
「悦子さん、悦子さん…」
「ああ、あ、ああ… いやよ、〝さん〟づけは… あああ…」
遼一はわずかにうなずくと、
「えつこ… えつこ…」
と耳たぶを甘噛みしながら囁きかけた。
「あああ… うれしい…うれしい… い…」
「大好きでした」
「わたしも好きだったわ… あああ… いい…」
「えつこ… えつこ… えつこ… 大好き…」
「だめ… 恥ずかしい… わたし…」
背後から抱きしめた手で包まれた胸がいとおしむような優しさで揉まれ、ストッキングの中へ忍び込んだ一方の手と指で花園を乱舞された悦子が昇りつめるのは早かった。
「そんなしたら… わたし…」
「感じて! えつこ…」
「感じてる… いっぱい感じてる… んっあああ…」
「えつこ… 大好き… かわいい…」
「だめ、だめ… もうだめ… いっちゃうから… あっ、ああああ…」
「えつこ… えつこ… おいで…」
「イノくん… だめ… あああ… ああっ い…い… いく、いくいくいくっ!」
その瞬間、悦子はつま先立ちのまま膝を大きく開いてのけぞったかと思うと、遼一に体をあずけて震えながらカーペットに崩れ落ちた。
絶え絶えになった息が少し整うと、
「恥ずかしい… こんな… イノくんと…」
悦子が少し枯れた声で遼一の胸に顔をうずめてつぶやいてから
「シャワー行っていい?」
と眼を伏せながら小さく訴えた。
「うん… いえ、はい」
「うん、でいいの」
「はい」
「うん、でしょ」
ふたりの顔に小さな笑いが戻った、しびれを感じるほどの幸せな瞬間だった。

