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独りの部屋
第9章 夏のはじまり、ふたりの秘密
障子を開けると、夜風がふわりと吹き抜けた。
外からは、遠くで鳴く蝉と、草むらを渡る虫の音。
夏の匂いが、ゆっくりと部屋に入り込んでくる。

「……来てくれて、嬉しい」
小さくそう言って、彼女が私の浴衣の袖を掴んだ。
高校時代の親友。久しぶりの再会。
けれど、心のどこかでは、この日をずっと待っていたのかもしれない。

「なんか、大人っぽくなった」
「そっちこそ」
そう言い合いながら笑って、でも目が合うと、すぐに視線を逸らしてしまう。

扇風機の風が、浴衣の裾をめくる。
その奥にある白い素肌に、彼女の視線が一瞬だけ泳いだ。

「……触ってもいい?」
問いかける声は、どこまでも優しくて、苦しかった。

うなずくと、彼女の指が私の膝に触れた。
するりと滑って、太腿へ。
ゆっくりと、確かめるように撫でてくる。

肌が、熱を帯びる。
彼女の吐息が耳元にかかった瞬間、声を洩らしてしまいそうになる。

「こういうの…はじめて?」
耳に触れる唇が、やわらかくて、くすぐったい。
でも、それ以上に、心の奥がじんわりと疼いていた。

夏の始まりの夜。
窓の外では花火の音が遠く響いていたけれど、
私たちのあいだでは、もっと深く、もっと静かに火が灯っていた――。

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