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独りの部屋
第10章 花火のあとで、浴衣のままで
人混みを抜けて、裏道へ。
遠くでまだ、太鼓の音と笑い声が響いていた。
けれどこの細い坂道には、もう私たちしかいない。

「ほら、浴衣、崩れてる」
彼女が指先で私の帯を整える。
その手が、わざとらしく長く触れているのを、私は気づかないふりをした。

「……綺麗だったね、花火」
そう言った私の声が、少し掠れているのを、彼女は見逃さない。
「まだ見せてないの、あるよ」
いたずらっぽく囁いた唇が、私の耳をかすめた。

ふいに、背中から抱きしめられる。
浴衣越しに感じる彼女の体温が、じわじわと腰に沁みていく。

「こっち、来て」
誘われるまま、軒下の影へ。
草履を脱ぎ、座り込むと、彼女が私の膝に手を置いた。

「ねえ……脱がせてもいい?」
そう言われたときには、もう浴衣の襟元が緩められていた。

夜風が、肩をなでる。
でも、身体の奥は冷えるどころか、むしろ熱くてたまらなかった。

「花火より、こっちのほうが綺麗」
彼女の舌が、鎖骨をなぞっていく。
まるで、じっくりと味わうように。

浴衣の下――
火照った肌に、彼女の指が、迷いなく這ってくる。
誰かに見られるかもしれないというスリルすら、快感に変わっていく。

遠くでまだ、祭り囃子が続いていた。
けれど、私たちの夜は、ここで始まっていた。

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