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独りの部屋
第34章 静かな密室

ドアを閉める音が、世界からすべてを切り離す。
車内は、ただ私と、助手席の彼女──あの子の気配だけ。
信号の赤が、フロントガラスに淡く揺れている。
その光に照らされた横顔が、たまらなく愛おしかった。
「ねぇ、こっち向いて」
そう言った声が、想像より甘くなっていたのは、自分でも意外だった。
あの子が、ゆっくりと顔をこちらに向ける。
伏せたまつげ、緊張で乾いた唇。その表情のすべてが、私の心を乱してくる。
シートの隙間から手を伸ばして、頬に触れると、彼女が一瞬びくっと震えた。
でも逃げない。むしろ、その温度に、吸い寄せられるように目を閉じる。
「こんな狭いところで、そんな顔……ずるいよ」
ゆっくりと身を乗り出し、唇を重ねる。
軽く。浅く。でも、すぐに我慢できなくなる。
シートがきしむ音さえ、興奮を煽るだけ。
指先は、彼女の首筋から鎖骨へ。浴衣の襟元が少し崩れ、熱を帯びた肌がのぞく。
「……帰れなくなるよ、今夜」
そう囁いた声に、自分でも驚くほどの熱がこもっていた。
完
車内は、ただ私と、助手席の彼女──あの子の気配だけ。
信号の赤が、フロントガラスに淡く揺れている。
その光に照らされた横顔が、たまらなく愛おしかった。
「ねぇ、こっち向いて」
そう言った声が、想像より甘くなっていたのは、自分でも意外だった。
あの子が、ゆっくりと顔をこちらに向ける。
伏せたまつげ、緊張で乾いた唇。その表情のすべてが、私の心を乱してくる。
シートの隙間から手を伸ばして、頬に触れると、彼女が一瞬びくっと震えた。
でも逃げない。むしろ、その温度に、吸い寄せられるように目を閉じる。
「こんな狭いところで、そんな顔……ずるいよ」
ゆっくりと身を乗り出し、唇を重ねる。
軽く。浅く。でも、すぐに我慢できなくなる。
シートがきしむ音さえ、興奮を煽るだけ。
指先は、彼女の首筋から鎖骨へ。浴衣の襟元が少し崩れ、熱を帯びた肌がのぞく。
「……帰れなくなるよ、今夜」
そう囁いた声に、自分でも驚くほどの熱がこもっていた。
完

