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独りの部屋
第33章 重なる吐息
布団の中、薄暗い闇に包まれて、彼女の温もりが肌にじんわりと伝わってくる。
肩が触れ合い、指先が無意識に絡まるたび、胸の奥がざわめいた。

「寒くない?」

彼女の囁きに、震える声で「ううん」と答えたけれど、実は心が熱くてどうしようもなかった。
浴衣の襟元がほどけて、見え隠れする白い肌。
その肌に指を這わせたい衝動を必死で抑えている。

息遣いが少しずつ重なって、ふたりの世界がゆっくりと溶け合う。
彼女の吐息が耳の裏で蕩けて、胸の鼓動が速まっていく。

「触っていい?」

問いかけられる前に、わたしの手がそっと彼女の腰に伸びた。
布団のぬくもりのなかで、身体も心もまだ見ぬ感覚に揺らいでいる。

指先が布越しに丸みを辿り、手のひらに伝わる柔らかさに、呼吸が途切れそうだった。

「もっと近くに……」

その言葉がふたりの距離を消していく。

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