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独りの部屋
第26章 最終電車

最終電車。がらんとした車内。
端の二人席に、ぴったり並んで座る私たちの間に、他人はいない。
けれど、誰かが見ているかもしれない――
その緊張が、むしろ私の指先を鋭く研ぎ澄ませる。
隣に座る彼女の腿に、自分の腿をそっと重ねる。
一瞬びくりとしたけれど、拒まない。
むしろ、静かに押し返してくる。
それだけで、私の中の疼きがじわじわと広がっていく。
「だめ…誰かに見られるよ…」
囁いた声はかすれていて、少しだけ震えていた。
でもその震えは、怖さより、もっと甘い期待のにおいがする。
私はコートの袖に隠した指先を、彼女の太ももへと這わせる。
ストッキング越しの柔らかさ。
さらに奥、布の境目をなぞると、彼女が小さく息を呑んだ。
「濡れてる…」
耳もとで囁くと、彼女は目を伏せて、うなずいた。
最終電車の車輪の音にかき消されるほどの、かすかな声で。
私の指が、もっと奥へと滑り込むと、
彼女は足をきゅっと閉じて、でも逃げない。
快楽に耐える彼女の横顔を盗み見る。
ああ、こんな顔を電車の中で見せてしまうなんて。
誰かが見たら、どう思うだろう――
そう思うほど、私の中の欲は膨らんでいく。
「駅、もうすぐ……っ」
切れ切れの声。
でも私は、止める気なんてない。
彼女が、私だけのものであることを、
この揺れる箱の中で、密やかに証明しているのだから。
完
端の二人席に、ぴったり並んで座る私たちの間に、他人はいない。
けれど、誰かが見ているかもしれない――
その緊張が、むしろ私の指先を鋭く研ぎ澄ませる。
隣に座る彼女の腿に、自分の腿をそっと重ねる。
一瞬びくりとしたけれど、拒まない。
むしろ、静かに押し返してくる。
それだけで、私の中の疼きがじわじわと広がっていく。
「だめ…誰かに見られるよ…」
囁いた声はかすれていて、少しだけ震えていた。
でもその震えは、怖さより、もっと甘い期待のにおいがする。
私はコートの袖に隠した指先を、彼女の太ももへと這わせる。
ストッキング越しの柔らかさ。
さらに奥、布の境目をなぞると、彼女が小さく息を呑んだ。
「濡れてる…」
耳もとで囁くと、彼女は目を伏せて、うなずいた。
最終電車の車輪の音にかき消されるほどの、かすかな声で。
私の指が、もっと奥へと滑り込むと、
彼女は足をきゅっと閉じて、でも逃げない。
快楽に耐える彼女の横顔を盗み見る。
ああ、こんな顔を電車の中で見せてしまうなんて。
誰かが見たら、どう思うだろう――
そう思うほど、私の中の欲は膨らんでいく。
「駅、もうすぐ……っ」
切れ切れの声。
でも私は、止める気なんてない。
彼女が、私だけのものであることを、
この揺れる箱の中で、密やかに証明しているのだから。
完

