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独りの部屋
第22章 声だけで

「……まだ、起きてた?」
電話の向こうから聞こえた沢村さんの声は、
まるで首筋を這う指先のように、ゆっくりと沈んできた。
夜の0時。ベッドの中で、電気もつけずに布団をかぶったまま、
私はスマホを握りしめていた。
「今日、会社でずっと我慢してたの。…あなたの声、聞きたかった」
どうしてそんなことを平然と言えるんだろう。
私は未だに彼女に触れるだけで手が震えるのに。
「想像して。わたしが今、どんなふうにしてるか――」
彼女の低い囁きが、耳の奥に直接届く。
息づかいが、少しずつ熱を帯びてゆく。
布団の中で、自分の太ももに触れた指先が、なぜか他人のように感じた。
彼女に見られているわけじゃない。触れられてもいない。
それなのに、声だけで、私の体はどんどん火照っていく。
「ねえ、優子。今、どこに触れてるの?」
まるで見透かされているような問いかけに、声が詰まった。
電話の奥、彼女の吐息がひときわ甘く震える。
「いいのよ。感じて。…わたしの声で、もっと濡れて」
耳の奥が痺れるようで、
私は思わず唇を噛んで、布団の奥で身をよじった。
ただの声。なのに、身体が勝手に応えてしまう。
こんな夜が、ずっと続けばいいのに――
そんなことを思いながら、私はそっと目を閉じた。
完
電話の向こうから聞こえた沢村さんの声は、
まるで首筋を這う指先のように、ゆっくりと沈んできた。
夜の0時。ベッドの中で、電気もつけずに布団をかぶったまま、
私はスマホを握りしめていた。
「今日、会社でずっと我慢してたの。…あなたの声、聞きたかった」
どうしてそんなことを平然と言えるんだろう。
私は未だに彼女に触れるだけで手が震えるのに。
「想像して。わたしが今、どんなふうにしてるか――」
彼女の低い囁きが、耳の奥に直接届く。
息づかいが、少しずつ熱を帯びてゆく。
布団の中で、自分の太ももに触れた指先が、なぜか他人のように感じた。
彼女に見られているわけじゃない。触れられてもいない。
それなのに、声だけで、私の体はどんどん火照っていく。
「ねえ、優子。今、どこに触れてるの?」
まるで見透かされているような問いかけに、声が詰まった。
電話の奥、彼女の吐息がひときわ甘く震える。
「いいのよ。感じて。…わたしの声で、もっと濡れて」
耳の奥が痺れるようで、
私は思わず唇を噛んで、布団の奥で身をよじった。
ただの声。なのに、身体が勝手に応えてしまう。
こんな夜が、ずっと続けばいいのに――
そんなことを思いながら、私はそっと目を閉じた。
完

