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わたしの課外授業
第5章 シャワールーム
 理事長室や職員室がある管理棟の地下には、24時間使用可能なシャワールームがある。授業を終えた体育教師が汗を洗い流すためという名目で設けられたそうだが、体育科の教師全員が同時に使ってもまだ余裕があるだけのシャワーがあって、わたしのような他教科の教師も使用できる。それぞれのロッカーもあって、お気に入りのボディーソープやシャンプーをキープしている。脱衣所にはドライヤーもあるし、鏡も張ってあるからお化粧もできる。暑い日は出勤してすぐにシャワーを浴びたりすることもある。

 「おはよう、一乗寺先生。今朝も暑かったわね」

 シャワーを浴びて鏡に向かって口紅をひいていると、隣のクラスの担任の城ケ島先生が話しかけてくる。汗をかいて肌に張り付いたTシャツに苦戦しながら裸になっていく。妙にサイズ小さめのシャツを着ているせいもあるけど。

 「おはようございます。すごい汗ですね。代謝がいいんですね」
 「暑いのは嫌いじゃないけど、この時期からこう暑いと先が思いやられるわ」

 城ケ島先生がようやく服を脱ぎ終わる。年齢はわたしより5、6歳上だけど、肌はぴちぴちでつるつる。

 「朝からカンカン照りですものね。毎年サマータイムの話が出ますけど実現しませんね」
 「学校だけ時間が早くなってもね。登校前に性欲処理してるお母さんも早起きしなきゃいけなくなるし」
 「そうなったらやっぱり『処理願い』が増えるんでしょうか」

 性欲処理は基本的には家庭で行うことになっているけど、何らかの都合で家庭で処理できない場合は、『処理費』を添えれば学校での処理を依頼することもできる。

 「どうかしらね。確かにいまがいっぱいかしらね」

 城ケ島先生は性欲処理のテクニックに長けているから、生徒の性欲処理も効率よくこなしてしまう。なので、先生のクラスには同学年の生徒が多めに振り分けられている。わたしのクラスもそうだけど。

 「技術向上に熱心な一乗寺先生がいてくれるから助かるわ」

 城ケ島先生がわたしの耳元でささやく。生暖かい息を耳に掛けられて身体がゾクゾクしてしまう。

 「また『自主練』行っちゃいますか?」
 「そうね。処理するばっかりじゃなくてたまには処理されたいものね。連絡してみてくれる? 今日でもいいわよ」
 「はい。さっそく連絡してみます」

 いきつけの〇〇クラブに繰り出す話がまとまった。
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