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第33章 決戦は金曜日

　　　　　誰か、俺に代わって
　　　　　実雅子にエクスタシーを
　　　　　教えてやってくれないか？
　　　　　とも思うが、
　　　　　誰でもいいわけではない。

　　　　　何かの参考にならないかと
　　　　　アダルト動画の
　　　　　『寝取り・寝取らせ』という
　　　　　ジャンルの動画を見ては、
　　　　　方法を考えた。

　　　　　『ながえスタイル』という
　　　　　アダルト動画メーカーの
　　　　　ドラマは参考になったが、
　　　　　どれも女性が喜んでいる
　　　　　わけではなかった。
　　　　　俺にとって実雅子を
　　　　　苦しめるのは
　　　　　本意ではなかった。

　　　　　実雅子が気に入るような
　　　　　男とはどんな男なのか？
　　　　　まず、
　　　　　それがわからなかった。
　　　　　そして、何より、
　　　　　実雅子の性格に難があった。

　　　　　極度の人見知り。
　　　　　男性嫌いが徹底していた。
　　　　　自分から話しかけることは
　　　　　まずない。

　　　　　俺との結婚も、
　　　　　血のつながらない
　　　　　遠縁だったから、
　　　　　実雅子の
　　　　　抵抗が少なかった
　　　　　という部分が大きい。

　　　　　結婚するまで処女で、
　　　　　異性関係は友達すらいなかった。
　　　　　中学高校は女子校。
　　　　　大学は国立最難関の一つの
　　　　　工学部だから、男子ばかり。
　　　　　そこでは、数少ない女子で
　　　　　群れて、男子を排除していた。

　　　　　そんな実雅子に
　　　　　俺以外の男性と関係させるのは
　　　　　至難の業だった。

　　　　　歯科医師の会合の後の
　　　　　交流会や宴席、食事会に
　　　　　実雅子を連れ出したが、
　　　　　話す相手は、女医か、
　　　　　歯科医師の妻、
　　　　　女性の歯科衛生士に
　　　　　限定されていて、
　　　　　若くてイケメンと人気の
　　　　　歯科医師たちは
　　　　　完全に無視だった。

　　　　　イケメン歯科医と言われて
　　　　　天狗になっていた連中が、
　　　　　声を掛けても、軽く躱す
　　　　　実雅子に戸惑っていた。
　　　　　不倫とか浮気とかではなく、
　　　　　単に話そうとしても
　　　　　躱すことに徹していた。