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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL
 やつあたりをしつつ、インストールをして自分のメールアドレスでログインを試みた。しかし知らないユーザーだと弾かれる。ログイン情報はスマホに登録してあり、滅多に入力することはない。保彦はあまりXを使う習慣がなく、もしかしたら乗っ取られたときの被害を懼れ、主で使っているものではない別のフリーメールアドレスで登録したのかもしれなかった。Xはアカウント名でもログインができるが、メールアドレス以上にうろ覚えだ。しかたなく、土橋のスマホでフリーメールを取得したうえで、アカウントを新たに作成した。

 いつか、愛梨に見せてもらったときの記憶から、ヒットしそうなキーワードで検索をすると、見事、上部の北欧雑貨の写真に見憶えのあるプロフィール画面にたどり着くことができた。愛梨のものに間違いない。投稿はそれほど多くはなかったが、三日前のものがあった。ときどきは使っているらしい。

 この事態がどれだけ続くのか、先が見えない。長い時間、自分と連絡が取れなくなれば愛梨が心配するだろうから、何かしらの連絡を入れておきたかった。

 何よりも、愛梨が恋しくなっていた。

 しかし、これではDMを送信することができない。

(あ、そうか)

 愛梨にアカウントを見せてもらった時、フォローだけはした。愛梨のフォローリストを探せば、そこには自分がいる。つまり、自分のアカウント名がわかる。

 千以上とかあれば大変だったが、愛梨のフォロワーは百程度、ひとつひとつ見ていってもさして大変ではない……はずだったが、見つからなかった。見逃したか、と上へと戻る。やはり見つからない。愛梨が、一方的にフォローしてくる詐欺アカウントの群れと間違えて消してしまったのだろうか? そんな迂闊な愛梨ではない。愛梨もその場でフォローバックしてくれた記憶があるので、フォロー中も追いかけてみたが、そこにも自分らしきアカウントはいなかった。

 そんな馬鹿な。

 しかし背に腹は代えられず、すべて解決すれば愛梨に上手く説明するとして、いったんは新たに作ったアカウントのプロフィールに愛梨に伝わるだろう程度に自分の情報を入力し、愛梨のアカウントをフォローした上で、

『保彦です。このアカウントをフォローして。お願い』

 と、最新の投稿にリプライを付けておいた。
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