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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL


 昨日、汐里が何時ごろに帰ったのかはわからなかった。

 結局、摺りガラスの向こうが白み始めるまで姦し続けた。目を醒ますと、裂けたストッキングと、もう履いている意味がないほど伸び萎れたTバックが、陵辱の名残としてマットレスのそばに棄てられており、土橋の部屋の一部と化していた。

 汐里の自慢の体は至るところが牡と牝の体液まみれになったはずだが、相当古いタイプのシャワーボックスにも床のゴミは侵食しており、身肌を洗いたくとも叶わなかったろう。ボタンを失ったブラウスはジャケットで何とか隠し、肉交の痕生々しい下腹はスカートで覆って、ギリギリ外を歩ける姿に扮し、しかし見る人が見れば明らかに乱暴された女よろしくの姿で、帰って行ったのかもしれない。半裸で眠りこけているところへ警察が押し入って来なかったところをみると、汐里は帰路に職務質問に遇うことは無かったし、自ら訴え出ることもしなかった、ということだ。

 起きた時には、また夜だった。

 保彦は周囲の景色を確認し、念のため鏡で自分の姿を確認したが、やはりそこには、禿げてメタボリックな醜い中年男が立っていた。

 なので、昨日と同じく腹が鳴った。土橋のクレジットカードで新たな食料を調達してもよかったが、面倒くさくなって、淫辱に勤しんだ恰好そのままにマットレスであぐらになり、もうチーズの固まってしまった味気ないピザを齧りながら、スマホも目覚めさせた。

 誰からも、メッセージも着信もなかった。
 リリからも。

『昨日はとってもキモチよかったね。汐里は俺の牝奴隷になったんだから、これからは絶対服従だよ』

 後朝の文のごとく送ってみたが、既読になるも返信はない。

 なんだ、つまらないな、と、保彦は粘着することなくメッセージアプリを落とし、最後の欠片を嚥下すると、ピザの入っていた箱を遠くに投げて煙草を吸い始めた。上野で買った煙草も、もう残りが少なくなっていた。

 立ち昇る煙を眺める。

 正直、自分はモテる。見てくれは悪くないし、高難度の大学に入ってなお、優秀な成績を維持しているし、卒業後を見据えて色々自己研鑽を積んできたから、相応の将来は約束されていると言っていい。
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