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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL
「……見ない、で……」

 その証拠に、ブチ切れて荒れ狂うかと思っていたのに、汐里はあらぬ方を向いて少しでも顔を土橋から遠ざけ、息苦しげに一言発したきり黙りこくった。頭を横向けているから、耳先が真っ赤になっているのが良く見える。見ないで欲しいのは、きっと顔なのだ。普段はキラキラと華やいで過ごしているというのに、汚らしい中年の力に敗れてしまった、ミジメな女の顔を。

(つっても、黙らせといてもつまらないな)

 むろん、顔以外が全くかというと、そうではなかった。

 体の中心線を滑り落ち、ヘアが完璧に手入れされた秘割まで焦点を辿らせると、

「きれいなオ××コだねぇ……。ビッチの広瀬さんのことだから、もっとグロマンかと思ってたよ」
 顔が見えなくなるのは残念だったが、保彦はショーツを引いたまま醜面を近づけていき、「俺の彼女に相応しい、ピンクのオ××コなのにね。嫌がるなんて信じられないよ。今からだって間に合うよ?」

 毫も思ってはいなかったが、土橋は汐里を彼女にしたがっていたから、持ち掛けてみた。

「あ……あんたなんかと、付き合えるわけないでしょ。鏡見たことないの?」

 ここでいったん了承し、土橋の油断を誘う作戦も考えられたが、……いや甘い、土橋のような男に恋人になる約束をしようものなら、セックスから逃れる可能性が限りなく絶たれてしまう。それは汐里も理解していたようで、採用する愚は犯さなかったが、一言、多かった。この期に及んでなお、人によっては逆上しかねない危険な罵詈を、追加せずにはいられないらしい。

 まだ、反抗の火は、完全に消え失せてしまったわけではなさそうだった。

 好ましく侮蔑を聞き流してやった保彦は、

「彼女じゃなきゃ、セフレでもいい、って言ったでしょ。それならどう?」

 続けてもう一つ、土橋が望んでいた関係を迫ってみた。

「なるわけないでしょ。ほんと、あんたって頭がおかしい」
「そっか……、なら仕方ないね」
 この侮蔑にも保彦は頓着なく身を起こし、「……じゃ、セックスしよっか」

 汐里は眉を顰めたが、

「……。……したら? とっとと終わらせてほしいし」

 と、顔を背けたまま恬淡と言った。

 強がりなのは目に見えていたが、早く終わってほしい、という点は本音だろう。
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