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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 それでも呼んでやると、うっとりとしながらもヨタヨタと進んできて、土橋の傍らに割り座となった。

 汐里がバッグを抛った時、今となっては昔、この部屋で同じくバッグを投げ捨てた時のことを思い出していた。手元に引き寄せ、目的のものを探す。

 やはり、その時と同じく入っていた、マグボトルを汐里に手渡した。

「中身は?」
「……ルイボスティー、です」
「カリウム豊富だな。そんなの飲むからそうなるんだ」
「だって……むくみとか、お通じとか……」
「もう空か?」
「……はい」
「だから」
 保彦は土橋と苦笑し、「そんなに、飲むからそうなるんだ」

 手を汐里の二の腕から腰へと下らせていく。最も悩ましく見えるように腰をくねらせた汐里は、

「あんっ……、ご迷惑、おかけして、……も、もうしわけ……、あり……」
「コレにしたらいい」

 利口だから、取り出された時点でわかっていたくせに、聞いて驚愕してみせたあと、抜かりなく整えている睫毛の間を涙目にし、ショートでもチャーミングさを押し出せる髪型を見つけたらしい、エアリーにまとめてある髪先をふるふると揺らした。

「なんでだ? 我慢できないんだろ」
「だ、だって……」
 下唇を噛み、「……は、はしたない……です、そんな」

 今度は笑いが声になりそうになのを寸出で堪え、

「汐里、膀胱炎になりたくないよな? はやくしろ」

 下腹を軽く押してやる。

 汐里、膀胱炎になりたくないよな。
 汐里を膀胱炎にするわけにはいかない。
 大切な汐里を、膀胱炎なんかにしたくない。

 およそこのような感じで脳内で変換していったのであろう汐里は、うん、と小声で頷いてから膝立ちになった。

 だが、初めてこの部屋を訪れた時と同じようなフォルムのペンシルスカートは、御自慢の曲線のせいでやはり、太ももの上部で滞った。

「ちょ、どうしよ……間に合わ……、ああっ、もうっ!!」

 汐里はスカートの中に両手を突っ込み、今日は自分でストッキングを切り裂いた。急いで蓋を開け、今は幸いのTバックと思しきクロッチをスカートの中で脇に除け、もう一方の手でマグボトルを差し込む。
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