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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL
 え、まさかコイツ彼女いるの? ……まあ誰だっていい。どんな人物からの、どんな些細な情報でも欲しいところだ。恋人ならば、土橋について色々と知っていよう。取り逃がしてはいけない。

『残業が終わってからでもいい』
『遅くなるから明日にして』

 明日まで待っている余裕などなかった。この女について考えを巡らせる。どんな女かは知らないが、おそらくは土橋と同年代で……きっと、同じようにモテない女なのだ。夜になってから会うくらいだ、底辺オジオバどうし、お互いの傷を舐め合うようなセックスをしてるのだろう。オバのほうも、オジに強く求められたら、捨てられるのを恐れて、断り切れないにちがいない。

 心無い勝手な想像から導き出された答えは、
 
『今日おまえにあいたいんだ』
『すごくあいたい』
『あえなきゃ俺どうなるかわからない』

 連投がすべて既読表示となるも、しばらく返信がなかった。
 やばい、ちょっとやりすぎたか、と懸念していると、

『どうしたらいい?』

 時間はかかったが、前向きなメッセージが表示されて安堵する。

『俺の部屋で』
『あんたの家なんか知らない』

 付き合っているのに、家を知らない?
 疑問に思ったが、素早く免許から住所を転記して送信すると、

『わかった』

 またしばらくのち、素っ気ない返信を最後にメッセージは途絶えた。

 保彦は溜息をつき、煙草を取り出して火をつけた。

 とにかく、リリとかいう女をここへ呼び寄せることに成功したようだ。土橋がそれまでにやって来るなら、それで良し。この女が先にやってくるなら、土橋のフリをしたままでもいい、色々と情報を聞き出すことにしよう。

 煙草臭は吸わない者にとっては不快だと承知しているが、部屋にはそれを上回るニオイが漂っているから、文句を言われる筋合いはなかった。周囲に灰皿代わりになるものがないか探していると、型落ちのノートパソコンのすぐ傍らに、空き缶を見つけることができた。




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