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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL
 ゴミを跨ぎ、踏み、窓まで到達すると、毛羽立ったカーテンを捲って窓を開けようとしたが、鍵が硬くて回らなかった。力を込めて何とか外し、やはり乾いた何かが凝固しているレールを無理矢理に二十センチほど滑らせる。陽の射し入った部屋を振り返っても、この男の生活スペースはマットレスの上しかないということが如実に物語られていた。表面には埃なのか白い粉状のものがまぶされており、よく見ると抜け毛もあちらこちらに散らばっている。

 まあいいや、どうせ俺の体じゃない、と、足裏の時と同じ理由で自分を納得させ、保彦はマットレスの上に座った。

 醜躯を下ろすや、異変に気づいてからここまでやってきた疲れがどっと押し寄せた。姿勢を維持できず、仰向けに寝転がって古びた吊り下げ式の電灯と、ところどころに黴の繁茂する天井を眺めた。ここで待っていれば、いつか土橋がやってくるはずだ。もうすぐ正午、奴が自宅へ戻ってくるまでに、あとどれくらいかかるのだろう……。

 はっと目を開くと、ずいぶんと時間が経ってしまっている、と、部屋の暗さから直感できた。

 スマホを見れば、午後六時を回っている。睡眠を誘ったのが土橋の肉体的な疲れなのか、自分の精神的な疲れなのかわからなかったが、うたた寝どころではなく、かなりの時間眠ってしまったようだ。

 下半身に圧迫感を感じた。野暮ったいスーツの前が尖り、少し身を動かしただけでも、下着と勃起の尖端との間にヌルリとした湿感があった。

 愛梨の夢を見ていた。

 愛しい恋人は、脚の間に割座となり、ペニスを握った拳を緩やかに上下させ、時おり亀頭へキスを施していた。保彦が愛梨の頬や唇に優しくする時を真似るかのように、淫猥な形に張った牡の柱へ、清純な唇を触れさせている。

 視線を感じたのだろう、ふと目線を上げ、目が合い、途端に紅潮して、唇を水鳥のように尖らせた恥ずかしげな笑みを浮かべた。愛梨が男のモノを舐めるなど、普段、彼女と接している者たちにはとても信じられないだろう。口愛を愛梨に教え、独占している優越感が、保彦に触感以上の愉楽を、いつももたらしてくれていた。

 だから土橋が、愛梨との淫夢で勃起していることが、とてつもなく腹立たしかった。

 くそっ、と独りごちてから周囲を見回したが、部屋の中は自分一人だった。

 土橋は来たのだろうか?
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