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わたしの日常
第13章 S川さんたちと再会した日のこと
引き戸を開けると、壁際に竹編みのかごが置かれていた。浴槽は深めの造りで、その横には木でできた蓋が三枚、端を揃えるように丁寧に立てかけられていた。それぞれかけ湯をしてお湯に浸かった。
お湯から上がり、かごの中のパンティを手に取って足を通しながら、ふと気になって、浴衣の帯を締めている義父に「着けてもいいのでしょうか」と訊いた。義父は「さて…」とちょっと考えながら「『郷に入りては郷に従う』ところだが、まずは奥ゆかしく行こう」と言った。気持ちが先走り過ぎたかもしれないと思いながら、パンティを着けた。
引き戸を開けて部屋に戻ると、S川さんとれいこさんは布団の上に並んで座っている。義父が「お待たせしました」と言い、わたしも「いいお湯でした」と続けた。れいこさんが「初めてお逢いしたのも温泉でしたね」と応じると、場が和んだような気がした。胡坐の姿勢だったS川さんが正座して「またこうしてお逢いできてうれしい限りです。感謝しております」と頭を下げる。わたしたちも並んで正座をすると、義父が「こちらこそ、本当にご縁をいただいてありがたく思っております」と頭を下げた。
「どうぞお布団の上へ」
S川さんに促されてわたしたちは空いている布団の上に座った。二組の布団を隔てている衝立をS川さんが横にずらした。
「さて…いかがいたしましょうか…」
S川さんが脚を崩す。わたしたちは返す言葉が見つからずに黙っている。S川さんも返事を期待しているわけでもなかったのだろう。
「どうぞお気を楽になさってください。初めてのことでいらっしゃるのですから。なあ?」
S川さんがれいこさんに相槌を求める。
「ええ。本当に」
れいこさんもと小さな声で応えた。
「わたしたちも初めての時は戸惑ったものです。いかに覚悟を決めていたとしてもですね」
「ええ。お察しのとおりです」
義父が応えるとS川さんは深く頷いた。
「今日は初めてですのでカメラは車に置いてきました」
S川さんが言った。写真のことはすっかり忘れていたが、送られた雑誌のお二人の姿が甦った。わたしたちに、写真を撮ったり撮られたりする余裕はないと気遣ってくれたのだろう。
お湯から上がり、かごの中のパンティを手に取って足を通しながら、ふと気になって、浴衣の帯を締めている義父に「着けてもいいのでしょうか」と訊いた。義父は「さて…」とちょっと考えながら「『郷に入りては郷に従う』ところだが、まずは奥ゆかしく行こう」と言った。気持ちが先走り過ぎたかもしれないと思いながら、パンティを着けた。
引き戸を開けて部屋に戻ると、S川さんとれいこさんは布団の上に並んで座っている。義父が「お待たせしました」と言い、わたしも「いいお湯でした」と続けた。れいこさんが「初めてお逢いしたのも温泉でしたね」と応じると、場が和んだような気がした。胡坐の姿勢だったS川さんが正座して「またこうしてお逢いできてうれしい限りです。感謝しております」と頭を下げる。わたしたちも並んで正座をすると、義父が「こちらこそ、本当にご縁をいただいてありがたく思っております」と頭を下げた。
「どうぞお布団の上へ」
S川さんに促されてわたしたちは空いている布団の上に座った。二組の布団を隔てている衝立をS川さんが横にずらした。
「さて…いかがいたしましょうか…」
S川さんが脚を崩す。わたしたちは返す言葉が見つからずに黙っている。S川さんも返事を期待しているわけでもなかったのだろう。
「どうぞお気を楽になさってください。初めてのことでいらっしゃるのですから。なあ?」
S川さんがれいこさんに相槌を求める。
「ええ。本当に」
れいこさんもと小さな声で応えた。
「わたしたちも初めての時は戸惑ったものです。いかに覚悟を決めていたとしてもですね」
「ええ。お察しのとおりです」
義父が応えるとS川さんは深く頷いた。
「今日は初めてですのでカメラは車に置いてきました」
S川さんが言った。写真のことはすっかり忘れていたが、送られた雑誌のお二人の姿が甦った。わたしたちに、写真を撮ったり撮られたりする余裕はないと気遣ってくれたのだろう。

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