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心の中のガラスは砕けて散った
第9章 8月
ベッドに体を横向きに 白い肌には薄っすらと汗が
横を向く小顔に髪が幾筋か 綾乃は目を閉じたまま
両の手が前でクロスする様に重なり 閉じた両の足の
間の黒い陰りが 白い肌に際立つ

社長が立ち上がり 扉の脇の電話機を持ち上げ

「 遥 部屋へ 」

内線電話を置く微かな音に 綾乃の瞳が開き
物憂げに回りを見回し 慌ててシーツを体に掛け
起き上がって社長に視線を送った
扉をノックする音の後 黒いスーツを着た
一人の女性が 髪を後ろで纏め 膝上のスカートから
黒いストッキングに包まれた長い足が

「 遥 、綾だ 風呂に案内を 」

髪を後ろで纏めた、古川遥は 無表情に頷き
綾乃の傍に寄り、冷たい声で

「 どうぞ こちらへ 」

手を入り口のドアに、差し出し綾乃が起き上がるのを待つ
綾乃は全裸をシーツで包んだまま 困惑する表情を浮かべ
社長と遥に視線を送った

「 そのまま!!行きなさい 」 

「 明日も10時にこの部屋へ 」

「 この後は、遥の指示に 」

社長はそう言い残し 綾乃に背を向け ドアを出て行った
寝室に残された綾乃は 困惑の表情を浮かべ遥を見る
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