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心の中のガラスは砕けて散った
第9章 8月
「 社長! 成田さんは悪くないですから 自分が
  強引に誘ったのが 原因です どうか・・・ 」
和彦が頭を床に付け 振り絞る様に言った

「 山田!! 」
綾乃は社長の低い声を聞き 体が竦むような威圧を覚え
震える足で 社長の隣のソファーに腰かけた

「 誰が! 口を利いて良いと言った!! 」
低い声が和彦に

「 済みません 」
和彦が 怯えた声で答え

「 もう良い 後は、成田さんと話すから ご苦労! 」
扉の脇に立っていた男が 和彦の腕を取り ドアを開け
二人の姿が消え 部屋にまた 沈黙の時間が

社長の視線が 綾乃を見つめて来る
目の奥から綾乃を見つめる目は
暗闇の ジャングルの中 獲物に
音もなく近寄る 獣の目の様に見つめ
”フッ” 社長の口角が僅かに上がり

「 成田さん 昨日の慰謝料 500万請求させて
  貰おうと思っている 」

「 えっ!! 500万・・・・ 」
綾乃は驚愕の声を上げ 非難する視線を社長に投げかけた

「 不満? 金額が大きい? 私の部屋に汚い物を
  撒き散らした人間に 請求する金額が 大きいと? 」

「 昨日 業者に手配させて 部屋の絨毯全て
  張り替えるように 1週間社長室は使えない 」

「 それでも 高いかな? 」
綾乃は俯き 首を振りそして・・・頷いた
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