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第9章 ８月

「　その・・・　傷は・・・？　」

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「　会社の階段踏み外して　転げ落ちて　」

「　これ位で済んだから　良かったです
　　社長に　マンション差し出して　首には
　　成りましたけど・・・　」

自嘲する様に言い　街中を抜けた車は　
郊外の大きな邸宅の駐車場の中に
入り口を入り、建物の中に入った二人を
屈強な男が無言で見下ろして　顎を動かし
後ろを向いた　男の後を付き　一つの扉が開き
男は脇に体を寄せ　二人中へと手で指し示した

正面のソファーに社長の姿が　和彦は部屋に入り
床に正座して頭を下げ　綾乃もそれに倣うように
和彦の隣に　正座で座った

綾乃は和彦に倣い　頭を下げ、社長の言葉を待った
16畳あるだろうか　広い部屋の中　ソファーと
大型のテレビが、綾乃達の後ろで　案内した大柄の男も
黙ったまま　部屋の中沈黙の時間が　流れ続け
社長の低い声が

「　成田さん　」
綾乃は　頭を下げたまま　返事を返す

「　頭を上げて　此処へ座ってくれるかな　」
綾乃が　見ると　社長の座るソファーの隣に有る
ソファーに座る様に促して来た