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やっと、逢えた
第5章 告白
親父のお喋りを止めようと声を出そうとしたら、
思いがけず彼女がクスクス笑いながら言った。


「私もお会いしたいなって思ってたんです。
でも、本当に会えるだなんてことは1ミリも期待してませんでした」


「えっ?」


「傘を渡す時に、手に触れたでしょう?
あの時に、とても不思議な感じがしたんです。
なんだか、懐かしいような。
それと、凄く手が冷たいのに、
内側から物凄く熱い焔みたいな感覚がして。
ほら。
赤い炎より、
青い炎の方が温度が高いじゃないですか?
そう見えないのに。
そんな感じがして、
一瞬、火傷しちゃったかと思ったんです。
でも、良く具合の悪いヒトに触れるとこちらも具合悪くなるような、
そういう感じもしなかったから、
どうしてかしらって思ってました。
勿論、先生、疲れてらっしゃる感じはありましたけど」


俺が運命の女性に出逢ったと思った時、
彼女も不思議な感覚があったと聴いて、
嬉しいくせに、くすぐったいような気持ちになった。


親父は、そうだろうという、
至極当たり前の顔をしていた。
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