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天狐あやかし秘譚
第70章 反転攻勢(はんてんこうせい)
☆☆☆
一方、陰陽寮の方でも、動きがあった。

「土門様、天狐に取り付けた発信機が動き出しました・・・」
冴守の前の大型のデスクトップパソコンのディスプレイ上に、東北地方の山間の地図が展開されている。その山間部を一直線に進む光点が見られた。
土門が後ろからそれを覗き込む。

「これ・・・大分早いのです・・・」
「推定ですが、時速にして1000キロです」
「せ・・・1000!?天狐が、この速度で走っているということ?」
「・・・いや、違いますね」

しれっと言ってのける冴守に、やや土門の顔が引きつる。

「こちら、精度は悪いですが、天狐に預けた携帯電話のGPS情報を重ねると・・・」

ものすごい速さでマップ上を駆ける光点の後ろに追随するようにGPS情報がプロットされる。精度は荒いがどうやら光点を追っているように見える。

「これから論理的に考えられることは・・・
 天狐ダリが、何らかの方法で敵方に発信機を取り付け、それを自らも追っている・・・
 ということでしょう」
あの天狐が敵に発信機をつけるなんてことやるだろうか?土門は一瞬、考え込み、唇を噛んだ。しかし、その迷いは刹那、決断は早かった。

「わかりました。設楽、状況を本部に連絡する。冴守はこいつがどこに向かっているかを推定するのです!今こそ、情報処理班、占部衆の底力、見せつけてやるのです!!」

背後でガタリと設楽が立ち上がる。本部は同じフロアなので走っていったほうが早いと踏んだようだ。冴守は廣金にも指示を飛ばし、光点が真っすぐ進んだとしたら突き当たるであろう特徴的な構造物を洗い出しをはじめていた。

・・・天狐が追っているということは、綾音さんがいる場所につながる手がかりだということなのです・・・。ということは、綾音さんは生きている、そうですよね?

待っててくださいね、綾音さん。
私が・・・私達が見つけてみせますから!

「私は句芒廟(こうぼうびょう)に入るのです。わかった情報があれば、随時知らせてほしいのです!」

そう言い残すと、占部の長、陰陽寮随一の占術士たる土門は、白拍子の裾を翻し、占部の事務室奥に据えられている廟に向かっていった。
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