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天狐あやかし秘譚
第69章 鎧袖一触(がいしょういっしょく)
これ以外にもいくつかの『型』を作り上げていった。本来『型』などなくても、その場で願えばそのとおりになるのだが、あまりにも自由度が高くて逆に使いにくい。あらかじめレシピというか、「こういうコンセプトの変形」というのを定めておくと、すぐにその特定の姿を活用することができて便利だった。こんなことも、生玉をしばらく使っていて発見したことだった。

ちなみに、最初はⅠ、Ⅱ、Ⅲなど、固まった順に番号をつけていたのだけれども、それでは味気ない、とお館様に指摘され、名称を改めることにした。

基本的にいつも使っているⅠ型を『宿禰』(すくね)
戦闘時に使用する形態であるⅡ型を『童子』(どうじ)
いざという時の切り札のひとつである巨大化した姿を『だいだらぼっち』
そう名付けた。

こうして、型をいくつか作りあげたところで、お館様が俺に言った。

「それ、試してみたくない?」
それは、ここから出ても良い、という初めての許可だった。

試す、と言われた時、俺の中で一番に浮かんだのが、在籍していた中学校、石隠市立加賀屋中学校だった。
端的に言えば、復讐だった。

久しぶりに出て見た、外の景色。
空の色が青いということを忘れそうになっていたことを思い知る。それほど俺は長い事、あの屋敷にいたのだった。今歩いているのは、その昔何度も通ったはずの通学路なのに、見知らぬ街のような感じがする。それもまた、俺が屋敷に閉じ込められてから大分時間が経っていたことの証左だった。

校門をくぐると俺は、Ⅱ型を発動する。
Ⅱ型『童子』・・・。
異常なまでに発達した四肢の筋肉が上半身のTシャツを弾け飛ばした。筋骨隆々とした姿が惜しげもなくさらされる。
『童子』とは鬼のことである。伝説の妖怪の名を冠するその姿で、俺は、懐かしい母校の校庭から、校舎を見上げた。

「おい!何だあれ!?」
「ば・・・バケモン!」

俺の姿を目ざとく見つけた生徒たちが騒ぎ出すのが聞こえた。聴覚の感度を上げると、教室内がパニックになっているのが手に取るように分かる。

教室・・・そうだ、3年A組・・・と言っていたな?

俺が通うはずだった教室は、三階の右から3つ目の教室だった。そこに当たりをつける。教室の中で教師と思しき男がうろたえているのが見えた。
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