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天狐あやかし秘譚
第68章 多情多恨(たじょうたこん)

はっはっ!
「脅してるつもりかい?俺を!やれるものなら・・・」
カダマシがぐぐっと体勢を低くする。その姿が一瞬ブワッとブレたかのように景色に滲む。
っ!?
刹那、ダリの右側を疾風が通り過ぎた。その動きの早さはダリの超知覚を持ってしても、影が揺らいだようにしか感じられなかった。
「くっ!」
右肩に灼熱の痛みが走る。体を捻って後ろを向くと、そこには体高が2メートル近い巨大な『狼』がその口元にダリの右腕を咥えて立っていた。『狼』は、ダリの右手をそこに握られていた死返玉もろとも、その大口の中に飲み込み、にやりと笑ってみせた。
ブシュッとダリの右肩から血が吹き出す。遅れてやってきた鋭い痛みにダリが右肩を押さえて膝落ちに崩れる。
「じゃあな、マヌケ」
狼が発した声は、カダマシのものだった。この獣のフォルムもまた、生玉によって作り出されたものであった。それは、スピードと顎の力に特化した形態であり、カダマシは、その名を『大口真神(おおぐちまがみ)』と呼んでいた。狼を神格化した神の名を冠するだけのことはあり、そのスピードはダリの動体視力をも凌駕し、その顎は、ダリの腕を一瞬で食いちぎるほどの膂力を持っていた。
「約束破ったからな・・・お前の女・・・ぶち犯すの決定だぜ?」
『大口真神』となったカダマシがくるりと闇夜の中、振り返り、一足飛びに森の中に駆け込んでいく。スピードに乗りさえすれば、その速度に追いつけるものはいないと、カダマシは自負をしていた。
森を漆黒の風の如きスピードで走り抜けつつ、カダマシはほくそ笑む。
ああ・・・楽な、仕事だよ・・・
やっぱ、力があるってのはいいもんだよな・・・
思い出す・・・思い出すぜ
最初にこの力を手に入れたときのことを
涙ぐんで、目を見張る無能な教師
俺の姿を見て震え上がる男ども
ぶっといちんぽで犯されて、頭を振り乱して悶える女の顔
そこにあるのは、支配者の愉悦
何ものにも代えがたいあの絶頂感
そして、絶大な万能感だった。
暗闇の森を疾走しながら、カダマシは思い出していた。
愉悦の時を、凌辱の瞬間を・・・。
「脅してるつもりかい?俺を!やれるものなら・・・」
カダマシがぐぐっと体勢を低くする。その姿が一瞬ブワッとブレたかのように景色に滲む。
っ!?
刹那、ダリの右側を疾風が通り過ぎた。その動きの早さはダリの超知覚を持ってしても、影が揺らいだようにしか感じられなかった。
「くっ!」
右肩に灼熱の痛みが走る。体を捻って後ろを向くと、そこには体高が2メートル近い巨大な『狼』がその口元にダリの右腕を咥えて立っていた。『狼』は、ダリの右手をそこに握られていた死返玉もろとも、その大口の中に飲み込み、にやりと笑ってみせた。
ブシュッとダリの右肩から血が吹き出す。遅れてやってきた鋭い痛みにダリが右肩を押さえて膝落ちに崩れる。
「じゃあな、マヌケ」
狼が発した声は、カダマシのものだった。この獣のフォルムもまた、生玉によって作り出されたものであった。それは、スピードと顎の力に特化した形態であり、カダマシは、その名を『大口真神(おおぐちまがみ)』と呼んでいた。狼を神格化した神の名を冠するだけのことはあり、そのスピードはダリの動体視力をも凌駕し、その顎は、ダリの腕を一瞬で食いちぎるほどの膂力を持っていた。
「約束破ったからな・・・お前の女・・・ぶち犯すの決定だぜ?」
『大口真神』となったカダマシがくるりと闇夜の中、振り返り、一足飛びに森の中に駆け込んでいく。スピードに乗りさえすれば、その速度に追いつけるものはいないと、カダマシは自負をしていた。
森を漆黒の風の如きスピードで走り抜けつつ、カダマシはほくそ笑む。
ああ・・・楽な、仕事だよ・・・
やっぱ、力があるってのはいいもんだよな・・・
思い出す・・・思い出すぜ
最初にこの力を手に入れたときのことを
涙ぐんで、目を見張る無能な教師
俺の姿を見て震え上がる男ども
ぶっといちんぽで犯されて、頭を振り乱して悶える女の顔
そこにあるのは、支配者の愉悦
何ものにも代えがたいあの絶頂感
そして、絶大な万能感だった。
暗闇の森を疾走しながら、カダマシは思い出していた。
愉悦の時を、凌辱の瞬間を・・・。

