この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第68章 多情多恨(たじょうたこん)

☆☆☆
沙也加とは、あの日以来、話すことができなくなった。沙也加自身が、なにか言問いたげな目で僕を見てくるのに気づくと、僕の方から避けていたのが大きな理由だ。
分かってる。
分かってるんだ。
近寄ってきて、お前はこういうつもりだろ?
『別れてほしい』
『他に付き合いたい人がいる』
そう・・・そうだよ
『その人は、あなたより頼りがいがあるの』
『私、やっぱり守ってくれる強い人がいい』
笑って・・・笑ってお前は、お前はそう言うんだろ・・・
避けて、避けて、避け続けた。
そして、周囲もそれに気づく。
笑っていた。みんな。
『身の程知らずだったんだよな』
『植草さんと雄一だろ?釣り合わねえよ』
『振られたってさ』
『とーぜん☆』
ははははは
きゃははははは
ははは!
そこらじゅうでみんながこっちを見ている。陰口をたたいている。
笑っている。バカにしている。
『あんな顔でよく、植草さんみたいな美人に告白とかできたよね』
『鏡みたことあんのかな?』
『ちょっと凄まれて、すごすご逃げたんだって』
『やば!情な!』
『弱い男ってねぇ・・・』
『その上、顔も・・・?』
『ええ!でも、金持ちだったらいいかも!』
『ダメだよ、あいつ貧乏だもん』
『じゃあ、いいとこなくない!?』
きゃははははは
ははははは
ふふふ はははは
やめろ・・・やめろ!
やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、ヤメロ!!!
頭を抱えこんで、しゃがみ込んで、
耳をふさいで、閉じこもる。
中3になる前に、僕は、完全に学校に行くことができなくなった。
親は心配した。何度も、何度も説得された。怒鳴りつけられることもあった。
理由を聞かれたけれども、とても言えるものではなかった。
閉じこもり、吐き気を催すくらいに、ぐるぐると考え続ける。
なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?
何がいけない?どうして上手くいかない?
俺だけ、俺だけ!!俺が、お・・・俺があ!!
そうだよ・・・そもそも、この顔がいけない。
このひょろひょろの身体がいけない。
なんでだ?なんでこんな身体なんだ!?
沙也加とは、あの日以来、話すことができなくなった。沙也加自身が、なにか言問いたげな目で僕を見てくるのに気づくと、僕の方から避けていたのが大きな理由だ。
分かってる。
分かってるんだ。
近寄ってきて、お前はこういうつもりだろ?
『別れてほしい』
『他に付き合いたい人がいる』
そう・・・そうだよ
『その人は、あなたより頼りがいがあるの』
『私、やっぱり守ってくれる強い人がいい』
笑って・・・笑ってお前は、お前はそう言うんだろ・・・
避けて、避けて、避け続けた。
そして、周囲もそれに気づく。
笑っていた。みんな。
『身の程知らずだったんだよな』
『植草さんと雄一だろ?釣り合わねえよ』
『振られたってさ』
『とーぜん☆』
ははははは
きゃははははは
ははは!
そこらじゅうでみんながこっちを見ている。陰口をたたいている。
笑っている。バカにしている。
『あんな顔でよく、植草さんみたいな美人に告白とかできたよね』
『鏡みたことあんのかな?』
『ちょっと凄まれて、すごすご逃げたんだって』
『やば!情な!』
『弱い男ってねぇ・・・』
『その上、顔も・・・?』
『ええ!でも、金持ちだったらいいかも!』
『ダメだよ、あいつ貧乏だもん』
『じゃあ、いいとこなくない!?』
きゃははははは
ははははは
ふふふ はははは
やめろ・・・やめろ!
やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、ヤメロ!!!
頭を抱えこんで、しゃがみ込んで、
耳をふさいで、閉じこもる。
中3になる前に、僕は、完全に学校に行くことができなくなった。
親は心配した。何度も、何度も説得された。怒鳴りつけられることもあった。
理由を聞かれたけれども、とても言えるものではなかった。
閉じこもり、吐き気を催すくらいに、ぐるぐると考え続ける。
なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?なんでだ?
何がいけない?どうして上手くいかない?
俺だけ、俺だけ!!俺が、お・・・俺があ!!
そうだよ・・・そもそも、この顔がいけない。
このひょろひょろの身体がいけない。
なんでだ?なんでこんな身体なんだ!?

