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天狐あやかし秘譚
第68章 多情多恨(たじょうたこん)

ダリの言葉に、ちっ!っと京本が舌打ちをする。
「交換って・・・俺は、女の場所なんて知らねんだよ。玉を手に入れたら連絡よこすってカダマシってやつから言われているだけで」
「黙れ」
瞬きするほどの時間でダリの左手には古槍が現れ、その穂先がピタリと京本の喉元に突きつけられる。
「お・・・おい!お、俺を殺したら・・・殺したら・・・!」
「女、となぜ知っている。お前は我と共に『死返玉』を探せと言われた。我を視界に収め続けろと言われた。それしか知らぬと言っていた・・・なのに、なぜ、我らが『女』とこれを交換しようとしていることを、知っているのだ?」
「そ・・・そりゃ、おめえ、聞いてたんだよ、聞いてた。カダマシってやつに、『奴らはこっちが女を人質にしているから手出しはできねえ』って・・・だからだよ」
一瞬ダリの言葉に怯んだ京本だったが、すぐに体勢を立て直す。少しのけぞるように槍の穂先を躱しつつ、弁明をしてみせた。
「へへ・・・いいのかい?俺の目を通して、あちらさんは状況把握してるらしいぜ?こんなことをして、カダマシってのが、お前さんの可愛い女を殺しちゃったりするかもしれないぜ?」
怜悧な瞳、氷のような冷たい視線を京本によこし、ダリは小さく嘆息した。その目は京本をして怖気を走らせるに十分な気迫があった。
「やはり、まだるっこしいことは・・・好かんな」
京本が目を見張るのと、ダリが素早く槍を横薙ぎにするのは同時だった。
「何を・・・!?」
ヒュン!と風切り音が響く。
その音が京本の耳に届くより先に、ダリの持つ古槍の穂先が、京本の喉笛を切り裂いた。
「交換って・・・俺は、女の場所なんて知らねんだよ。玉を手に入れたら連絡よこすってカダマシってやつから言われているだけで」
「黙れ」
瞬きするほどの時間でダリの左手には古槍が現れ、その穂先がピタリと京本の喉元に突きつけられる。
「お・・・おい!お、俺を殺したら・・・殺したら・・・!」
「女、となぜ知っている。お前は我と共に『死返玉』を探せと言われた。我を視界に収め続けろと言われた。それしか知らぬと言っていた・・・なのに、なぜ、我らが『女』とこれを交換しようとしていることを、知っているのだ?」
「そ・・・そりゃ、おめえ、聞いてたんだよ、聞いてた。カダマシってやつに、『奴らはこっちが女を人質にしているから手出しはできねえ』って・・・だからだよ」
一瞬ダリの言葉に怯んだ京本だったが、すぐに体勢を立て直す。少しのけぞるように槍の穂先を躱しつつ、弁明をしてみせた。
「へへ・・・いいのかい?俺の目を通して、あちらさんは状況把握してるらしいぜ?こんなことをして、カダマシってのが、お前さんの可愛い女を殺しちゃったりするかもしれないぜ?」
怜悧な瞳、氷のような冷たい視線を京本によこし、ダリは小さく嘆息した。その目は京本をして怖気を走らせるに十分な気迫があった。
「やはり、まだるっこしいことは・・・好かんな」
京本が目を見張るのと、ダリが素早く槍を横薙ぎにするのは同時だった。
「何を・・・!?」
ヒュン!と風切り音が響く。
その音が京本の耳に届くより先に、ダリの持つ古槍の穂先が、京本の喉笛を切り裂いた。

