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天狐あやかし秘譚
第66章 奸智術数(かんちじゅっすう)

☆☆☆
「はあ・・・ちかれたあ・・・」
就業時間後、1時間の残業の後、やっと今日の業務を終えることができた。となりでも上里先輩が端末の電源を落としている。
「昨今人手不足だからね。綾音ちゃんが来る前は、この仕事3人でやってたんだよ?大変なのはしょうがないって」
そう言って励ましてくれる。
「飲み行かない?」と誘われるが、ここでまた躊躇してしまう。
だって・・・私、お金が・・・
あれ、確か、騙されたこと、上里先輩にも言いましたよね?てか、上里先輩が『2週間も気づかないとかありえない!絶対詐欺だから警察行きなよ』って言ってくれたんじゃあ・・・。
「あ、でも、私、騙されてお金なくなっちゃったから」
「え?綾音ちゃん、騙されたの?なになに!?詐欺?どうしたの!!」
上里先輩の驚きようを見ると、騙された・・・ってところから、すでに私の夢だったんだろうかと訝しく思う。ちょっと待ってくださいね、とスマホを取り出し、銀行のアプリを立ち上げる。残高を見ると・・・
180万円・・・
学生時代に死ぬ思いで貯めたお金はそのまま残っていた。たしか私はこの貯金プラス、消費者金融から借りまくって300万を彼に用立てした・・・んじゃなかったっけ?
恐る恐るスマホと財布を確認する。
そこには、消費者金融のアプリや、あの時作りまくったクレジットカードなんかも一切入っていなかった。
これって・・・?
「騙されて・・・ない?」
「どしたの?綾音ちゃん?今日、あなた変よ?」
狐につままれたとは、このことだ。
私の体調を心配した先輩は、とりあえず早く帰るように促してくれた。
家・・・家は?
学生時代から住んでいるボロアパートに帰る。101号室に住んでいる大家さんが丁度玄関口にいたので、おそるおそる挨拶をすると、大家さんも当然のように挨拶を返してきてくれる。
「あら、浦原さん、おかえりなさい」
やっぱり・・・?でも、一応確認しないではいられない。
「あ・・・あの・・・、私・・・ここの302号室に住んで・・・いいんですよね?」
はあ?と大家さんからも上里先輩と同じような顔を向けられてしまう。
「はあ、いいですが・・・改まってどうしたんですか?浦原さん」
「あ、いや、いいんです。いいなら、いいんです!」
「はあ・・・ちかれたあ・・・」
就業時間後、1時間の残業の後、やっと今日の業務を終えることができた。となりでも上里先輩が端末の電源を落としている。
「昨今人手不足だからね。綾音ちゃんが来る前は、この仕事3人でやってたんだよ?大変なのはしょうがないって」
そう言って励ましてくれる。
「飲み行かない?」と誘われるが、ここでまた躊躇してしまう。
だって・・・私、お金が・・・
あれ、確か、騙されたこと、上里先輩にも言いましたよね?てか、上里先輩が『2週間も気づかないとかありえない!絶対詐欺だから警察行きなよ』って言ってくれたんじゃあ・・・。
「あ、でも、私、騙されてお金なくなっちゃったから」
「え?綾音ちゃん、騙されたの?なになに!?詐欺?どうしたの!!」
上里先輩の驚きようを見ると、騙された・・・ってところから、すでに私の夢だったんだろうかと訝しく思う。ちょっと待ってくださいね、とスマホを取り出し、銀行のアプリを立ち上げる。残高を見ると・・・
180万円・・・
学生時代に死ぬ思いで貯めたお金はそのまま残っていた。たしか私はこの貯金プラス、消費者金融から借りまくって300万を彼に用立てした・・・んじゃなかったっけ?
恐る恐るスマホと財布を確認する。
そこには、消費者金融のアプリや、あの時作りまくったクレジットカードなんかも一切入っていなかった。
これって・・・?
「騙されて・・・ない?」
「どしたの?綾音ちゃん?今日、あなた変よ?」
狐につままれたとは、このことだ。
私の体調を心配した先輩は、とりあえず早く帰るように促してくれた。
家・・・家は?
学生時代から住んでいるボロアパートに帰る。101号室に住んでいる大家さんが丁度玄関口にいたので、おそるおそる挨拶をすると、大家さんも当然のように挨拶を返してきてくれる。
「あら、浦原さん、おかえりなさい」
やっぱり・・・?でも、一応確認しないではいられない。
「あ・・・あの・・・、私・・・ここの302号室に住んで・・・いいんですよね?」
はあ?と大家さんからも上里先輩と同じような顔を向けられてしまう。
「はあ、いいですが・・・改まってどうしたんですか?浦原さん」
「あ、いや、いいんです。いいなら、いいんです!」

