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天狐あやかし秘譚
第65章 主客転倒(しゅかくてんとう)

ダリが収束させた力は生半可ではなかった。
それが証拠に、カダマシは内心思っていたのだ。
ああ・・・コイツは今の『童子』じゃ受け止めきれねえなあ・・・
しゃあねえなあ
「だいだらぼっち」
カダマシはポツリ、呟いた。瞬間、その首にかけられた赤と紫がうねうねと混じり合うような不思議な色合いで光る勾玉、神宝『生玉』がその輝きを増した。
その光りに包まれ、身体がドクンと一度脈動する。ただでさえ大きな体躯が更に膨れ上がる。
その様子をダリもまた見ていた。身体だけではなく、その内に秘める力も比例して大きくなっていく様子もわかった。
しかし、ダリの判断は変わらない。
あの力が、槍に込めた力を上回る前に一気に討ち取る!
「雷槍よ!」
槍を突き出し、カダマシに向けて極限まで収束した雷撃を打ち出した。ダリの語彙にはないが、現代風に表現すれば、それは超高出力のレーザーに似ていた。
「はーっは!!遅えぇ!」
ダリが術を放った瞬間、カダマシの身体が一気に拡張する。
「ありゃ何だぁ!!」
御九里が突如発生した巨大な影に驚き、ダリたちの方を見る。九条は声こそ上げなかったが、同じ気持ちなのか、目を見開いていた。
カダマシの体躯は最終的には体高20メートルほどになっていた。それはビル6階分に相当する大きさであった。
ダリの雷撃が到達する頃には、カダマシの体は膨張を終えていた。雷は巨大になった足に命中することになるが、収束させすぎたのが仇になり、彼に致命傷を負わせるには至らなかった。一瞬くるぶしあたりを焦がし、穴を開けることはできたが、神宝が放つ巨大化の力の奔流が作用したのか、それもまた一瞬で癒えてしまう。
「ちっ!」
巨大になったカダマシが身震いするとその衝撃だけで大地が震え、ダリや九条らがよろめく。カダマシは素早くあたりを見回すと、木の下に倒れているクチナワを見出す。『生玉』の肉体強化の力は視力や聴力などの感覚器官にも作用していた。超感覚を有している今のカダマシには、周囲で起きていることを手に取るように知覚することができていた。
何度使ってもこの力!
素晴らしい!!
それが証拠に、カダマシは内心思っていたのだ。
ああ・・・コイツは今の『童子』じゃ受け止めきれねえなあ・・・
しゃあねえなあ
「だいだらぼっち」
カダマシはポツリ、呟いた。瞬間、その首にかけられた赤と紫がうねうねと混じり合うような不思議な色合いで光る勾玉、神宝『生玉』がその輝きを増した。
その光りに包まれ、身体がドクンと一度脈動する。ただでさえ大きな体躯が更に膨れ上がる。
その様子をダリもまた見ていた。身体だけではなく、その内に秘める力も比例して大きくなっていく様子もわかった。
しかし、ダリの判断は変わらない。
あの力が、槍に込めた力を上回る前に一気に討ち取る!
「雷槍よ!」
槍を突き出し、カダマシに向けて極限まで収束した雷撃を打ち出した。ダリの語彙にはないが、現代風に表現すれば、それは超高出力のレーザーに似ていた。
「はーっは!!遅えぇ!」
ダリが術を放った瞬間、カダマシの身体が一気に拡張する。
「ありゃ何だぁ!!」
御九里が突如発生した巨大な影に驚き、ダリたちの方を見る。九条は声こそ上げなかったが、同じ気持ちなのか、目を見開いていた。
カダマシの体躯は最終的には体高20メートルほどになっていた。それはビル6階分に相当する大きさであった。
ダリの雷撃が到達する頃には、カダマシの体は膨張を終えていた。雷は巨大になった足に命中することになるが、収束させすぎたのが仇になり、彼に致命傷を負わせるには至らなかった。一瞬くるぶしあたりを焦がし、穴を開けることはできたが、神宝が放つ巨大化の力の奔流が作用したのか、それもまた一瞬で癒えてしまう。
「ちっ!」
巨大になったカダマシが身震いするとその衝撃だけで大地が震え、ダリや九条らがよろめく。カダマシは素早くあたりを見回すと、木の下に倒れているクチナワを見出す。『生玉』の肉体強化の力は視力や聴力などの感覚器官にも作用していた。超感覚を有している今のカダマシには、周囲で起きていることを手に取るように知覚することができていた。
何度使ってもこの力!
素晴らしい!!

