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天狐あやかし秘譚
第65章 主客転倒(しゅかくてんとう)
大きな体躯、巨人のようなそれで見回す地平は、神の視点そのものだった。脳機能の活性化により、ハイになっているせいか、破壊衝動がいつにも増して抑えにくい。注意していないとこのまま麓に見える町を蹂躙するべく走り出しそうになる。

いけねえ・・・
お館様の言いつけだった

右手を伸ばし、その大きな手でクチナワを回収する。

あとは・・・

森の奥に目をやると、木々を透かして、クチナワが放った蛇に絡め取られている女と麻衣とかいう子どもを発見することもできた。そこに向かって今度は左手を伸ばす。傷つけないようにと言われている。それも面倒なので、そいつらを地面ごと掬い取る。

これで、任務は果たした。
じゃあ・・・

「なっ!」

両足に力を込めてジャンプした。カダマシが意識したのはそれだけである。その強大な力は、ただ跳躍した、それだけで足元の山肌をえぐり取り、周囲に甚大な破壊をもたらすに十分な威力を持っていた。

どごおおおん!!

大音響とともに、カダマシの巨躯が山肌から南側に向けて弾丸のように射出した。
一瞬の出来事に、九条ら陰陽師たちも為すすべがない。ダリは一瞬、『だいだらぼっち』となったカダマシを追う姿勢を見せたが、えぐられた山肌、災害の如き土砂崩れに陰陽師たちが巻き込まれそうになるのを見て、考えてしまった。

きっと、綾音なら、こいつらを見捨てた我を許すことはないだろう。

その思いが、彼をして、九条ら陰陽師たちの救出を優先させるに至ったのだ。

そうして、ダリが日暮、九条、御九里の救助を終えた時には、すでに、カダマシらの行方は杳として知れなくなってしまったのである。
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