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天狐あやかし秘譚
第65章 主客転倒(しゅかくてんとう)
なんで、これを想定しておかなかったんだろう。私達は、麻衣が不本意に連れ去られ、助けを待っているものとばかり思っていた。しかし、敵方に言いくるめられている、場合によっては洗脳されている可能性だってあったのだ。

ホシガリ様であった凪子のように
疱瘡神になってしまった真白のように

歯噛みするが、時すでに遅しである。私は身動きが取れず、日暮もまた蛇たちをいなしきれなくなってきてしまっている。

こんな時、私にできることはたったひとつである。

「いやあああっ!!ダリぃ!!」

私は最大の音量で、彼に、最強の天狐に助けを求めていた。
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