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天狐あやかし秘譚
第127章 有為転変(ういてんぺん)
「見つけたのです!・・・陰陽五行 歳星 死門 奇魂勧請!」
呪言が周囲に響く。
その声でハッとキヌギヌは我に返り、慌てて周囲の認識を再び歪めようとしたが、すでに遅かった。
「舞いあがれ、夜魂蝶!」
女性の声とともに、キヌギヌの周囲にキラキラと光る蝶が群れをなして飛び回る。その光は辺津鏡の呪力を乱反射し、その効果を著しく弱めていった。
「誰!?」
キヌギヌが慌てて声のする方に目をやると、木陰から紫かかった髪にやはり紫をベースとした貫頭衣のような不思議な出で立ちをした女性が現れる。手には式神を呼び寄せる勧請符をまだ数枚持ったままだった。
「土門!」「土門様!」
ダリと御池が同時に声を上げた。それを聞いて、キヌギヌはその現れた女性が誰なのかを知る。
「貴様・・・陰陽寮の・・・!?」
かつてスクセと共に覗いていた戦場に幾度も登場していた。占いと雷撃、そして奇妙な錯乱術に長けた女陰陽師。確か・・・
「宮内庁陰陽寮陰陽部門占部衆丞の一位、土門杏里・・・ただいま参上・・・なのです!」
ちっ!
キヌギヌは舌打ちをひとつすると、慌てて洗脳の対象を土門に切り替えようとする。しかし・・・
『なんで!?視えない!』
キラキラと飛び交う夜魂蝶の向こう。確かに土門の姿を視線で捉えているにも関わらず、その心の内に入っていかれないのだ。
「無駄なのです・・・夜魂蝶があなたを取り巻いている限り、呪力収束そのものができないのです!・・・さあ、御九里を返してもらいますよ。その子がいないと、うちの日暮が悲しむのですから!」
『ちくしょう・・・なんで、なんでこうなった!?
途中まではこちらのペースだったはず』
御九里を人質にスクセを操って綾音を殺させる。あとは綾音の心の内を覗いて動きを支配すればよかったはずだったのに・・・。キヌギヌは歯噛みした。
『そうだ、あの女!?』
なんであの女の心の底を見通せなかった?
土門から視線を綾音に戻すと、綾音の姿がぐらりと揺らぐのがみえた。
『まさか・・・!?』
その揺らぎはたちまち大きくなり、全身が光で覆われた生き物とも人ともつかない何かの形を取り始める。
「神籬(ひもろぎ)に降り立ち給え・・・未架神!」
御池の声とともに形を成したのは、肩から下しかない人間のような奇妙な輝く人形だった。明らかに綾音ではない。
呪言が周囲に響く。
その声でハッとキヌギヌは我に返り、慌てて周囲の認識を再び歪めようとしたが、すでに遅かった。
「舞いあがれ、夜魂蝶!」
女性の声とともに、キヌギヌの周囲にキラキラと光る蝶が群れをなして飛び回る。その光は辺津鏡の呪力を乱反射し、その効果を著しく弱めていった。
「誰!?」
キヌギヌが慌てて声のする方に目をやると、木陰から紫かかった髪にやはり紫をベースとした貫頭衣のような不思議な出で立ちをした女性が現れる。手には式神を呼び寄せる勧請符をまだ数枚持ったままだった。
「土門!」「土門様!」
ダリと御池が同時に声を上げた。それを聞いて、キヌギヌはその現れた女性が誰なのかを知る。
「貴様・・・陰陽寮の・・・!?」
かつてスクセと共に覗いていた戦場に幾度も登場していた。占いと雷撃、そして奇妙な錯乱術に長けた女陰陽師。確か・・・
「宮内庁陰陽寮陰陽部門占部衆丞の一位、土門杏里・・・ただいま参上・・・なのです!」
ちっ!
キヌギヌは舌打ちをひとつすると、慌てて洗脳の対象を土門に切り替えようとする。しかし・・・
『なんで!?視えない!』
キラキラと飛び交う夜魂蝶の向こう。確かに土門の姿を視線で捉えているにも関わらず、その心の内に入っていかれないのだ。
「無駄なのです・・・夜魂蝶があなたを取り巻いている限り、呪力収束そのものができないのです!・・・さあ、御九里を返してもらいますよ。その子がいないと、うちの日暮が悲しむのですから!」
『ちくしょう・・・なんで、なんでこうなった!?
途中まではこちらのペースだったはず』
御九里を人質にスクセを操って綾音を殺させる。あとは綾音の心の内を覗いて動きを支配すればよかったはずだったのに・・・。キヌギヌは歯噛みした。
『そうだ、あの女!?』
なんであの女の心の底を見通せなかった?
土門から視線を綾音に戻すと、綾音の姿がぐらりと揺らぐのがみえた。
『まさか・・・!?』
その揺らぎはたちまち大きくなり、全身が光で覆われた生き物とも人ともつかない何かの形を取り始める。
「神籬(ひもろぎ)に降り立ち給え・・・未架神!」
御池の声とともに形を成したのは、肩から下しかない人間のような奇妙な輝く人形だった。明らかに綾音ではない。

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