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天狐あやかし秘譚
第127章 有為転変(ういてんぺん)
♡ーーーーー♡
【有為転変】この世のものはすべて、少しの間もとどまらずに移り変わるということ。
世の中は移り変わり続けてどうなるかなんてわからんのよ!・・・みたいな。
♡ーーーーー♡

「金刀一閃!」

聞き覚えのある声とともに、ざあっと風が吹いたように感じた。
そう思ったら、ガキン、と私の耳元で強烈な金属が軋むような音がする。

「綾音を狙うとは・・・まだ操られておるのか、貴様」
私の首元にはいつの間にかダリが差し出したのか、天魔反戈の柄があり、それがギリギリのところで御九里の放った斬撃を防いでいた。

い・・・いつの間に!?

ついさっきまで、少し離れたところで刀を構えていたはずの御九里が次の瞬間には私のそばにいた。動きが見える、見えないなんていう次元ではない。テレポーテーションか何かのようだ。私の主観では、キヌギヌと思しき声がしたかと思うと、次の瞬間には斬撃が飛んできていたのだ。

そうか・・・今、この瞬間も、私達の知覚は辺津鏡の支配下にあるんだ。今の攻撃も、おそらくはキヌギヌが強制的に作り出した意識の死角をついて御九里が移動し、斬撃を飛ばしてきたのだろう。

きっとダリにしても突然のことだったに違いない。いつもどおり涼しい顔をしているのでよくわからないが、こんな無理ゲーな攻撃を防ぐことができたのは、ひとえに彼の神がかった反射神経の賜物と言えよう。

あっぶねー・・・

今更ながらに命の危険を感じる。まだ暑い鞍馬山なのに、背筋がブルリと震えた。

「やっぱり天狐・・・なかなか難しいわね〜。その女が死ねば緋紅様喜ぶと思ったんだけどな〜☆」

妙にテンション高い台詞のあと、不意に言葉が途切れる。瞬間、ゾクリと何か妙な気配を感じた。それは例えて言えば、暗い虚からこちらをじっと覗かれているような、そんな感覚だった。とにかく、まとわりつくようなベッタリとした奇妙な視線を感じるのだ。

これって・・・み、視られている!?

ヤバ、と思う。キヌギヌが持っているのは知覚だけではなく、人の思考をも操る神宝・辺津鏡、視られているということは、私の精神もまた操られようとしているということを意味する。

「でも・・」
「そうはいかぬよ!」

私とダリの声が重なる。
私達だって何も対策をせずに来たわけではないのだ。当然、キヌギヌがここにいることも想定していた。
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